キリスト者に与えられた恵み8/聖化1
聖化の定義は諸説ありますが、聖化については、聖別、聖、聖化の過程、・・、等について分けながら見ていくと分かり易いのではないかと思います。
表題にあるように、キリスト者に与えられた恵み、という観点で述べていきます。
1.聖別
1コリント1:1.2には、
“1 神の御心によって召されてキリスト・イエスの使徒となったパウロと、兄弟ソステネから、
2 コリントにある神の教会へ、すなわち、至るところでわたしたちの主イエス・キリストの名を呼び求めているすべての人と共に、キリスト・イエスによって聖なる者とされた人々、召されて聖なる者とされた人々へ。イエス・キリストは、この人たちとわたしたちの主であります。”(新共同訳)
新共同訳が、「キリスト・イエスによって聖なる者とされた人々、召されて聖なる者とされた人々へ」と訳した箇所を、
2017は、「キリスト・イエスにあって聖なる者とされ、聖徒として召された方々へ」と訳し、
口語訳は、「キリスト・イエスにあってきよめられ、聖徒として召されたかたがたへ」と訳しています。
コリント教会は、様々な種類の罪の故に、パウロからきびしい指導を受けた教会です。
パウロは、その手紙の冒頭で、「キリスト・イエスによって聖なる者とされた人々、召されて聖なる者とされた人々へ」と記しているのです。
コリント教会の人々の中には、キリスト・イエスを信じた後でも、キリスト・イエスを信じていない人たちよりも行いが悪かった人たちがいたのです。
パウロは、その人たちに対しても、「キリスト・イエスによって聖なる者とされた人々、召されて聖なる者とされた人々へ」と記しているのです。
この人達は、この時点で、行いがきよくあったというのではなく、神のものとして聖別されている、ということをパウロは述べているのです。
神様は如何なる方法で私たちを聖別したのでしょうか?
ヘブライ(ヘブル)10:10.14には次のように記されています。
“10 ・・、ただ一度イエス・キリストの体が献げられたことにより、わたしたちは聖なる者とされたのです。/14 実に、キリストは唯一の献げ物によって、聖なる者とされた人たちを永遠に完全な者としてくださったのです。”(聖書協会共同訳)
神様は、神である御子が、人間の肉体を纏い、キリストの肉体において罪の贖いを成し遂げ、キリストを信じた者(キリストを心にお迎えした者)を神のものへと聖別してくださったのです。これは回心のときに神様がなさってくださったことです。それ故、キリスト様を心にお迎えした者(キリストを信じた者)は、神へと聖別されているのです。
ヘブル10:10の聖句によって、心の思い、意思、感情と行いとが、瞬時的に全く聖とされるというのは間違った捕らえ方ではないかと思います。この聖句は、キリスト者の立場について述べているものであると私は考えます。
2.神は聖です。
「神は聖」という項目は、聖化の中に入るわけではありませんが、「神は聖である」という概念が分からないと聖化もわからないのではないかと思い、ここに入れることにします。
聖書辞典は、
“「聖」を表す〈ヘ〉コーデシュの原意は「分離」であり、「聖」とは,ある二者の間に分離がある状態を指している。聖が神の属性として用いられる時、神がすべての被造物から隔絶していること、悪や罪からも全く分離していることを指す。聖はまた神の栄光(レビ10:3)や正義とさばき(詩篇99:3)と関係づけて用いられている。”(抜粋)と述べています。
レビ10:3に、ヤハウェ(主)ご自身が、「私は聖なるもの」と出て来ますが、更に理解しやすいためにレビ10:1-3を下記します。
“1 さて、アロンの子ナダブとアビフはそれぞれ自分の火皿を取り、中に火を入れ、上に香を盛って、主が彼らに命じたものではない異なる火を主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕の前に献げた。
2 すると火が主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕の前から出て来て、彼らを焼き尽くした。それで彼らは主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕の前で死んだ。
3 モーセはアロンに言った。「主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕がお告げになったことはこうだ。『わたしに近くある者たちによって、わたしは自分が聖であることを示し、民全体に向けてわたしは自分の栄光を現す。』」アロンは黙っていた。”(2017)とあります。
3節の『 』内を聖書協会共同訳は、“『私に近づく者によって、私が聖なる者であることを示し、民全体の前に栄光を現す。』”と訳しています。
詩篇99:3は次のように記されています。
2017は、“大いなる恐れ多い御名をほめたたえよ。主は聖なる方。”(2017)と訳し、
新共同訳は、“御名の大いなること、畏るべきことを告白せよ。主は聖なる方。”と訳し、
口語訳は、“彼らはあなたの大いなる恐るべきみ名をほめたたえるであろう。主は聖でいらせられる。”と訳しています。
3.キリストがキリスト者の「聖」となってくださったということ
1コリント1:30には次のように記されています。
新改訳第三版は、“・・あなたがたは、神によってキリスト・イエスのうちにあるのです。キリストは、私たちにとって、神の知恵となり、また、義と聖めと、贖いとになられました。”と訳し、
口語訳は、“あなたがたがキリスト・イエスにあるのは、神によるのである。キリストは神に立てられて、わたしたちの知恵となり、義と聖とあがないとになられたのである。”と訳し、
新共同訳は、“神によってあなたがたはキリスト・イエスに結ばれ、このキリストは、わたしたちにとって神の知恵となり、義と聖と贖いとなられたのです。”と訳し、
新改訳2017は、“・・、あなたがたは神によってキリスト・イエスのうちにあります。キリストは、私たちにとって神からの知恵、すなわち、義と聖と贖いになられました。”と訳し、
聖書協会共同訳は、“あなたがたがキリスト・イエスにあるのは、神によるのです。キリストは、私たちにとって神の知恵となり、義と聖と贖いとなられたのです。”と訳しています。
驚くべきことに、というか大いなる感謝というべきか、この聖句は、御父が、キリスト者をキリストの内に置いた、ということです。それ故、御父はキリストを通してキリスト者を見てくださるということです。
別の言い方をすると、キリストの義、キリストの聖が、キリスト者に転嫁された、ということになります。
キリスト者は、キリスト者の実際の心のありようとか行いには関係なく、キリストの内に置かれている故に聖であると見なされているのです。
今日の箇所は、神が聖であられ、絶対的主権者であられるヤハウェ(主)というお名前の唯一の神が、キリスト者を聖別した、ということを中心に述べました。
明日に続く
<お祈り>
天のお父様。
あなたの御名を賛美します。
キリスト・イエス様を信じさせて頂けて感謝します。
キリスト・イエス様を信じた時に、あなたのものとして聖別してくださり、キリストの内に置いて下さり、キリストの聖を転嫁してくださいましたことを感謝します。
あなたの御厚意にふさわしい歩みをしていくことができますように。
私たちの主キリスト・イエス様の御名で祈ります。アーメン。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<転嫁>について
転嫁というと、この世で多く用いられるのは、「責任の転嫁」という言葉で、「自分の罪・責任などを他になすりつけること」ですが、今日の箇所は、私たちにとって素晴らしく良いものである転嫁です。
聖書辞典は次のように述べています。
“〔転嫁とは、(筆者挿入)〕何かをある者に「帰する」ことや他のものと「見なす」こと(レビ25:31、17:4)を意味するものと考えられるが、最も重要な概念はキリストの義を人間のものと見なす神の行為に関する表現としてである。これは原罪、贖い、義認の3つの聖書の教理の背後にあるものであり、第1はアダムの罪の子孫への転嫁であり、創3章とそれに続く人類の堕落の歴史に示されている。次は信じる者の罪がキリストに転嫁されることで、旧約のいけにえの制度は新約のキリストにおける贖いの予型であった(イザヤ53:6.11)。人間は本来罪人であり、義とはなり得ない者であるが、神の義がキリストの十字架の贖いにより人間に転嫁されて、罪人であるが、義と「見なされる」のである。さらに信じる者に対するキリストの義の転嫁があり、義認は行いによらず価なしに与えられる(ローマ3:24、5:15、ガラテヤ2:16)。この概念はプロテスタント教会の特質であって、ローマ・カトリック教会の言う義の注入(義が一つの実体としてとらえられ、それが神から人間へと注入されることによって人間が義となるという説)による成義(義化)とは異なる。”とあります。
〔義が注入されたら、正しい思い、正しい行動を取ることができるでしょう。しかし、無意識のうちに正しい行動をとることができるようにして頂けるのは、時間軸でいうと、黙示録19:8まで待つ必要があると私は考えています。(筆者挿入)〕
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