申命記33:6-11 ルベン、ユダ、レビへの祝福(預言)
申命記33:6-11には次のように記されています。
“6 「ルベンを生かし、殺さないでください。その数が少なくなるとしても。」
7 ユダについて彼は言った。
「主よ、ユダの声を聞き、その民のもとに戻してください。彼は自分の手で戦っています。あなたがその敵からの助けとなってください。」
8 レビについて彼は言った。
「あなたのトンミムとウリムを、あなたに忠実な者に与えてください。あなたはマサで彼を試み、メリバの水のほとりで彼と争われた。
9 彼は父と母について、『私は彼らを顧みない』と言い、兄弟も認めず、自分の子さえ無視し、あなたの仰せに従い、契約を守りました。
10 彼らは、あなたの法をヤコブに、あなたの律法をイスラエルに教え、御前に香をたき、あなたの祭壇に焼き尽くす献げ物を献げる。
11 主よ、彼の力を祝福し、その手の業を受け入れてください。彼に逆らう者の腰を打ち砕き、憎む者を立ち上がれないようにしてください。」”(聖書協会共同訳)とあります。
6節を、口語訳は、「ルベンは生きる、死にはしない。しかし、その人数は少なくなるであろう。」と訳しています。
新共同訳は、「ルベンを生かし、滅ぼさないでください。たとえその数が少なくなるとしても。」と訳しています。
ルベンのこの預言(or祈り)が成就したのはいつでしょうか。
それはヤハウェ(主)がアッシリアを用いて北イスラエルを攻撃させ、北イスラエルが敗北した時のことであろうと思います。
申命記4:25-27には次のように記されています。
“25 もしあなたが子や孫をもうけ、その地で年を取り、堕落してあらゆる形の彫像を造り、あなたの神、主の目に悪とされることを行い、主を怒らせるならば、
26 私は今日あなたがたに対して、天と地を証人として呼び出す。あなたがたは、ヨルダン川を渡って行って所有する地〔ルベン族はヨルダン川を渡らず、ヨルダン川の東側に所有地を得ましたから、ヨルダン川を渡った部族よりも不忠実であったのです。創世記17:8、民数記32章参照(筆者挿入)〕から取り去られ、たちまち滅び去る。あなたがたはそこで長く生きることはできない。必ずや滅ぼされる。
27 主は、あなたがたをもろもろの民の中に散らされる。しかし、主が追いやる先の国々で僅かな者は残される。”(聖書協会共同訳)とあります。
2列王記15:29には、「イスラエルの王ペカの時代に、アッシリアの王ティグラト・ピレセルが攻めて来て、イヨン、アベル・ベト・マアカ、ヤノア、ケデシュ、ハツォル、ギレアド、ガリラヤ、およびナフタリの全地方を占領し、その住民を捕囚としてアッシリアに連れ去った。」(新共同訳)と記されています。
ルベン族は広義で言うギレアドの地にありました。
7節には、“ユダについて彼は言った。「主よ、ユダの声を聞き、その民のもとに戻してください。彼は自分の手で戦っています。あなたがその敵からの助けとなってください。」”とあります。
ユダ族は実によく戦いました。士師記1:1-20にユダ族とカナン人との戦いが記されています。時代は下り、ヤハウェ(主)が、ユダ族から王としてダビデを選ばれ、ユダ族を中心とした戦いは続きました。その後、北イスラエルと南イスラエル(ユダ族であるダビデの子孫が王位を継承)の間の戦いや他国との戦いもありました。7節はユダの為のとりなしの祈りとして、事の起こる前にささげられています。
8-11節は、レビについての預言と祈りが記されています。
8節には、「あなた〔ヤハウェ(筆者挿入)〕のトンミムとウリムを、あなたに忠実な者に与えてください。あなたはマサで彼を試み、メリバの水のほとりで彼と争われた。」とあります。
ウリムとトンミムは、ヤハウェ(主)の御旨を伺うための物でした。ウリムとトンミムは大祭司の胸当てに入れられていました(出エジプト28:30)。
参考として、1サムエル14:37-43の記事を下記します。
“37 そこでサウルは神に伺った、
「わたしはペリシテびとを追って下るべきでしょうか。あなたは彼らをイスラエルの手に渡されるでしょうか」。
しかし神はその日は答えられなかった。
38 そこでサウルは言った、
「民の長たちよ、みなこの所に近よりなさい。あなたがたは、よく見きわめて、きょうのこの罪が起きたわけを知らなければならない。
39 イスラエルを救う主は生きておられる。たとい、それがわたしの子ヨナタンであっても、必ず死ななければならない」。
しかし民のうちにはひとりも、これに答えるものがいなかった。
40 サウルはイスラエルのすべての人に言った、
「あなたがたは向こう側にいなさい。わたしとわたしの子ヨナタンはこちら側にいましょう」。
民はサウルに言った、「良いと思われることをしてください」。
41 そこでサウルは言った、
「イスラエルの神、主よ、あなたはきょう、なにゆえしもべに答えられなかったのですか。もしこの罪がわたしにあるか、またはわたしの子ヨナタンにあるのでしたら、イスラエルの神、主よ、ウリムをお与えください。しかし、もしこの罪が、あなたの民イスラエルにあるのでしたらトンミムをお与えください」。こうしてヨナタンとサウルとが、くじに当り、民はのがれた。
42 サウルは言った、
「わたしか、わたしの子ヨナタンかを決めるために、くじを引きなさい」。
くじはヨナタンに当った。
43 サウルはヨナタンに言った、「あなたがしたことを、わたしに言いなさい」。
ヨナタンは言った、「わたしは確かに手にあったつえの先に少しばかりの蜜をつけて、なめました。わたしはここにいます。死は覚悟しています」。”(口語訳)と記されています。
神意を伺うウリムとトンミムは正しい答えを出しました。主が関与されているからです。
「くじ」について、聖書辞典は次のように述べています。
“旧約聖書におけるくじ引きは神の意志を見出すために行われた。大祭司が着たエポデの付属品ウリムとトンミム(出28:30,レビ8:8)もそのために用いられた(民27:21,エズ2:63,ネヘ7:65)。”と記されています。
箴言16:33には“くじは膝に投げられるが、そのすべての決定は主から来る。”(2017)と記されています。
8節後半には、「あなたはマサで彼を試み、メリバの水のほとりで彼と争われた。」とあります。
マサ(メリバ)での出来事は、出エジプト17:1-7、民数記20:1-13に記されています。
9節には、「彼は父と母について、『私は彼らを顧みない』と言い、兄弟も認めず、自分の子さえ無視し、あなたの仰せに従い、契約を守りました。」記されています。
これは、金の子牛事件のときのことです。出エジプト32:26-29に記されていますが、出エジプト32:1から読んでいくとよく分かります。
申命記33:9をリビングバイブルは、「レビ族は御教えに従いました。大ぜいの悪人を殺し、自分の子ども、兄弟、両親さえも容赦しませんでした。」と訳しています。
このリビングバイブルの訳を読むと、イエス様が語られた弟子の条件の一部を思い起こします。それは何よりも主イエス様を第一に愛しますか、ということです。マタイ10:34-39には次のように記されています。
“34 「私が来たのは地上に平和をもたらすためだ、と思ってはならない。平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ。
35 私は敵対させるために来たからである。人をその父に、娘を母に、嫁をしゅうとめに。36 こうして、家族の者が敵となる。
37 私よりも父や母を愛する者は、私にふさわしくない。私よりも息子や娘を愛する者も、私にふさわしくない。
38 また、自分の十字架を取って私に従わない者は、私にふさわしくない。
39 自分の命を得る者は、それを失い、私のために命を失う者は、それを得るのである。」”(聖書協会共同訳)とあります。
10節には、「彼らは、あなたの法〔「定め」(2017)、「裁き」(新共同訳)。ヘブライ語原語は「ミシュパート」(筆者挿入)〕をヤコブに、あなたの律法〔「御教え」(2017)。ヘブライ語原語は「トーラー」(筆者挿入)〕をイスラエルに教え、御前に香をたき、あなたの祭壇に焼き尽くす献げ物を献げる。」(聖書協会共同訳)とあります。
これは、レビ族に与えられた職務(宗教教育と祭儀)です。
11節には、「主よ、彼の力を祝福し、その手の業を受け入れてください。彼に逆らう者の腰を打ち砕き、憎む者を立ち上がれないようにしてください。」とあります。
これはモーセの祈りです。レビ族及び、レビ族に属する祭司、大祭司が、ヤハウェ(主)から命じられたとおりにヤハウェ(主)にお仕えしたら、この祈りは成就することでしょう。
キリスト者も新約時代の祭司です。
1ペテロ2:9には「・・あなたがたは選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神のものとされた民です。それは、あなたがたを闇の中から、ご自分の驚くべき光の中に召してくださった方の栄誉を、あなたがたが告げ知らせるためです。」(新改訳2017)と記されています。
<お祈り>
天のお父様。
あなたをほめたたえます。
私たちキリスト者は新約の祭司として立てられています。
あなたを愛し、あなたに忠実に仕える祭司としてご奉仕させていただけますように。
私たちの主キリスト・イエス様の御名でお祈りします。アーメン