ダニエル書

2021年10月13日 (水)

ネブカドネツァル王が見た巨大な像の夢とダニエルの解き明かし(付記)

 ダニエル2:31-36aには次のように記されています。
“31 王よ。あなたが見ておられると、なんと、一つの巨大な像が現れました。この像は巨大で、異常な輝きを放って、あなたの前に立っていました。その姿は恐ろしいものでした。
32 その像は、頭は純金、胸と両腕は銀、腹とももは青銅、33 すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土でした。
34 あなたが見ておられると、一つの石が人手によらずに切り出され、その像の鉄と粘土の足を打ち、これを粉々に砕きました。
35 そのとき、鉄も粘土も青銅も銀も金も、みなともに砕け、夏の脱穀場の籾殻のようになり、風がそれを運んで跡形もなくなりました。そして、その像を打った石は大きな山となって全土をおおいました。
36 これがその夢でした。”(2017)とあります。

 ダニエルはこの解き明かしとして次のように語りました。ダニエル2:37-45節には次のように記されています。
“37 王の王である王よ。天の神はあなたに国と権威と力と栄誉を授け、38 また人の子ら、野の生き物、空の鳥がどこに住んでいても、これをことごとくあなたの手に与えて、治めさせられました。あなたはあの金の頭です。
39 あなたの後に、あなたより劣るもう一つの国が起こり、
その次の第三の青銅の国が全地を治めるようになります。
40 そして第四の王国ですが、それは鉄のように強い国です。鉄はすべてのものを砕いてつぶしますが、その国は、打ち砕く鉄のように、先の国々をすべて粉々に砕いてしまいます。
41 あなたがご覧になった足と足の指は、その一部が陶器師の粘土、一部が鉄でしたが、それは分裂した国のことです。その国にはある程度までは鉄の強さもありますが、あなたがご覧になったように、その鉄は粘土と混じり合っています。
42 その足の指が一部は鉄、一部は粘土であったように、その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。
43 鉄と粘土が混じり合っているのをあなたがご覧になったように、それらは子孫の間で互いに混じり合うでしょう。しかし鉄が粘土と混じり合わないように、それらが互いに団結することはありません。
44 この王たちの時代に、天の神は一つの国を起こされます。その国は永遠に滅ぼされることがなく、その国はほかの民に渡されず、反対にこれらの国々をことごとく打ち砕いて、滅ぼし尽くします。しかし、この国は永遠に続きます。
45 それは、一つの石が人手によらずに山から切り出され、その石が鉄と青銅と粘土と銀と金を打ち砕いたのを、あなたがご覧になったとおりです。大いなる神が、これから後に起こることを王に告げられたのです。その夢は正夢で、その意味も確かです。」”(2017)とあります。

1.頭は純金
2.胸と両腕は銀
3.腹とももは青銅
4.すねは鉄
5.足は一部が鉄、一部が粘土

 ネブカドネツァル王にヤハウェ(主)が見せた夢は、イスラエル民族と関係のある国々でした。

 純金で表されたバビロンによって、南イスラエル即ちユダ王国は壊滅させられ、エルサレムは焼かれ、バビロンに捕囚になった者たちも数多くいました。

 銀で表されているのはメディア・ペルシアの国です。
キュロス王(キュロス2世)は、B.C.600年頃、ペルシア王国の王である父カンビュセス1世と母マンダネ(メディアの王アステュアゲスの娘)の間に、王子として生まれた人です。
この人がアケメネス朝ペルシアの初代の王です。
このキュロスがイザヤ44:28、45:1に名前入りで預言されているキュロス(第三版は「クロス」)です。 
キュロスはバビロン捕囚から捕囚民を解放した人です。

 ペルシア帝国の最初の5王の順序は、
1.キュロス(治世年代:B.C.559-530年)
2.カンビュセス(治世年代:B.C.529-522年)
3.ダレイオス(治世年代:B.C.521-486年)
4.クセルクセス(治世年代:B.C.485-465年)
5.アルタクセルクセス(治世年代:B.C.464-424年)
で、アルタクセルクセスが、エズラ記とエレミヤ記に出てくるペルシアの王では最後の王です。
それからも次々と王は立てられペルシアは、B.C.330年に滅びます。

 イスラエル(ユダ+α)は、ペルシア帝国の中の一つの州(ユダ州)として存在していました(エズラ、ネヘミヤ、エステル各記参照)。

 青銅で表されているのは、ギリシアです。
ペルシアを敗北させたのは、古代ギリシアのアルゲアス朝マケドニア王国のバシレウス(王)であるアレクサンドロス三世{アレクサンドロス大王orアレキサンダー大王(在位期間:B.C.336-323年)}です。
アレクサンドロス三世は、イッソスの戦い{(B.C.333年)イッソスは現トルコハタイ県の地中海沿岸にあるイスケンデルン}でペルシアの王ダレイオス3世に勝利し、ダレイオス三世は逃走、次にガウガメラの戦い{(B.C.331年)ガウガメラは現イラク北部}でダレイオス3世に勝利し、ダレイオス三世は逃走、ダレイオス3世はB.C.330年謀反によりベッソス等により殺されました。ダレイオス3世の葬儀を取り行ったのはアレクサンドロス三世でした。

 ペルシア帝国の中の一つの州であったユダ州は、ギリシアの支配下に置かれました。
2019年9月23日の著者のブログ(抜粋)を下記します。
“アレクサンドロス三世に、主(ヤハウェ)なる神様が関与された故に、エルサレムが守られたという話をゼカリヤ書のところで述べましたが、今回、それを引用して記しておきます。これは穂谷牧師が石岡教会の礼拝で用いた原稿に少し加筆したものですが許可を受けています。ゼカリヤ9:1-8の小生のブログより引用します。  
私が親しくさせて頂いている穂谷牧師の原稿の一部には、「〔アレキサンダー大王は、グラニコス川の戦い、次いでイッソスの戦いで(筆者挿入)〕ペルシアを抑えた後、レバント〔厳密な定義なありませんが東部地中海沿岸地方の歴史的な名称です(筆者挿入)〕に進む。諸国が彼に従うなかで、ツロは拒む。アレキサンダー大王が建前でヘラクレスを拝むため、ツロの神殿を訪れたいと言ったとき、〔ツロは(筆者挿入)〕本殿は陸の方にあると言って拒んだ。激怒した大王は、800mと深さのある海に、がれきをなげこんで道を作った。7ヶ月かけた。45mの城壁があり、〔大王が(筆者挿入)〕城壁崩しを揃えても、〔ツロは城壁を(筆者挿入)〕より高くし、登ってくる兵を倒した。そのとき、これまで傲慢だったツロに怒ってたシドンなどの周辺〔の民(筆者挿入)が〔ツロを(筆者挿入)〕裏切って攻撃。見事、〔ツロは(筆者挿入)〕陥落した。〔エゼキエル26:4で、主はツロを、(筆者挿入)〕「裸岩にする」と〔預言されているようにツロは(筆者挿入)〕更地になった。
ツロへの道を作っていた7ヶ月間、〔アレキサンダー(筆者挿入)〕大王は食料を支援するようにペルシャ権力下のユダに使者を送った。そして、今後大王につかえるようにと命じた。
しかし、大祭司ヤドハは、ダレイオスに従うと創造主に約束した手前できないと断る。大王は怒り、片付いたら次はユダを攻めるとメッセージ。
神に大祭司の服装を着て大王に会いに行くよう命じられたヤドハ。大王はマケドニアをでるときに、〔夢で(筆者挿入)〕勝利を約束した人物がその大祭司の服装であったと言って温かく迎える。
その際にヤドハが大王に見せたのがダニエル8:5ー8、20ー22。これは200年前に預言されていた。
大王は喜び、税金軽くし、兵役を免除した。→ヨセフスのユダヤ古代史に記載。」とあります。
 エルサレムは、アレクサンドロス三世の攻撃から守られました。私たちキリスト者も主によって守られています。しかしそうは思えない時もあります。それは、主が私たちを懲らしめ聖くするためであったり(ヘブル12:5-11)、或いは私たちの一見不幸とも見えることを通して主が御業をなされるためです(使徒16:14-34、22:1-21)。主は主のあかしのため、魂の救いのためにキリスト者への迫害や殉教を許可されることがあるのです。しかし、迫害されたり殉教した者への報酬は大いなるものがあります(マタイ5:10-12)。
詩篇4:3には「知れ。主はご自分の聖徒を特別に扱われるのだ。私が呼ぶとき主は聞いてくださる。」(新改訳)と記されています。”とあります。

 アレクサンドロス三世亡き後のこの帝国のことはネブカドネツァル王の見た巨大な像の夢には出て来ませんが、敢えて言えば、青銅の部分は「腹ともも」です。腹は一つですがももは一つではありません。アレクサンドロス三世亡き後、この国は4つの地域に分けられて各統治者が統治しました。
ダニエル7:6には、“その後、見ていると、なんと、豹のような別の獣〔アレクサンドロス三世(筆者挿入)〕が現れた。その背には四つの鳥の翼があり、その獣には四つの頭があった。そしてそれに主権が与えられた。”(2017)との預言が記されています。

 ネブカドネツァル王の見た夢の中の巨大な像のすねは鉄でした。この鉄はローマ帝国を表します。
ユダヤはその後ローマの属州となるのです。
ローマ皇帝アウグストゥスの時代に、神のひとり子である神の御子〔神は霊です(ヨハネ4:24)〕が十字架にかけられるために肉体を纏われマリアから生まれたのです。

 ネブカドネツァル王の見た夢の中の巨大な像の最後は、足で、一部が鉄、一部が粘土でした。
わたしの推測ですが、これは大患難時代の十本の角、すなわち反キリスト{(獣)黙示録13:1ー10}が治める連合国です。反キリストは、携挙後3年半たつと自分を神としないイスラエルの民を迫害するのです。

 イエス様の十字架と復活によって、神様の経綸は、教会時代へと移りました。そして携挙後、神様の経綸はまたイスラエルに回帰するのです(私の推測です)。
その様に考える理由は、ダニエル9:24-27の預言で、次のように記されています。
“24 あなた〔ダニエル(筆者挿入)〕の民〔ユダヤの民(筆者挿入)〕と、あなたの聖なる町〔エルサレム(筆者挿入)〕については、七十週〔1週は7年で490年のこと(筆者挿入)〕が定められています。これはとがを終らせ、罪に終りを告げ、不義をあがない、永遠の義をもたらし、幻と預言者を封じ、いと聖なる者に油を注ぐためです。
25 それゆえ、エルサレムを建て直せという命令が出てから、メシヤなるひとりの君が来るまで、七週と六十二週あることを知り、かつ悟りなさい。その間に、しかも不安な時代に、エルサレムは広場と街路とをもって、建て直されるでしょう。
26 その六十二週の後にメシヤ〔イエス・キリスト(筆者挿入)〕は断たれるでしょう〔イエス・キリストの十字架(筆者挿入)〕。ただし自分のためにではありません〔すべての人の罪のため。但し救われるのはイエス・キリストを信じた人(筆者挿入)〕。またきたるべき君の民〔ローマ軍(筆者挿入)〕は、町と聖所とを滅ぼすでしょう〔ローマ軍がA.D.70年にエルサレムを破壊(筆者挿入)〕。その終りは洪水のように臨むでしょう。そしてその終りまで戦争が続き、荒廃は定められています。
〔イエス・キリストの十字架と復活後からキリストの空中再臨時の携挙まで教会時代、イエス・キリストを信じるだけで救われるという恵みの時代(筆者挿入)〕
27 彼〔反キリスト(筆者挿入)〕は一週の間〔7年間(筆者挿入)〕多くの者と、堅く契約を結ぶでしょう。そして彼はその週の半ばに、犠牲と供え物とを廃するでしょう〔黙示録13:14.15、マタイ24:15参照(筆者挿入)〕。また荒す者が憎むべき者の翼に乗って来るでしょう。こうしてついにその定まった終りが、その荒す者の上に注がれるのです」。
〔彼〔反キリスト(筆者挿入)〕は一週の間〔7年間(筆者挿入)〕、多くの者と同盟〔契約(聖書協会共同訳)〕を固め、半週でいけにえと献げ物を廃止する〔携挙後に建てられるエルサレム第三神殿におけるいけにえと献げ物を廃止する(筆者挿入)〕。憎むべきもの〔獣{反キリスト}の像(筆者挿入)〕の翼の上に荒廃をもたらすものが座す。そしてついに、定められた破滅が荒廃〔荒廃をもたらすもの(聖書協会共同訳)、「荒廃をもたらす者」=反キリスト(獣){筆者挿入}〕の上に注がれる。(新共同訳)〕”(口語訳)とあります。

 70週の預言に関連して、注解付新改訳聖書の注は、二つの解釈をあげていますが、その内の一つを下記します。
“〔25節の「エルサレムを建て直せという」(筆者挿入)〕命令〔エレミヤ2:1-8(筆者挿入)〕をB.C.445年〔アルタクセルクセス王の第20年(筆者挿入)〕のネヘミヤへの勅令とし、ユダヤ式の数え方で、69週後〔173880日(筆者挿入)〕をA.D.32年、キリストのエルサレム入場〔4月6日(筆者挿入)〕と解する説もある。”と記されています。

 ネブカドネツァル王が見た巨大な像の夢は、神様の経綸に基づくユダヤの民とエルサレムに関係するものであったのだろうと推測します。

 ダニエル2章の
“44 この王たちの時代に、天の神は一つの国を起こされます。その国は永遠に滅ぼされることがなく、その国はほかの民に渡されず、反対にこれらの国々をことごとく打ち砕いて、滅ぼし尽くします。しかし、この国は永遠に続きます。
45 それは、一つの石が人手によらずに山から切り出され、その石が鉄と青銅と粘土と銀と金を打ち砕いたのを、あなたがご覧になったとおりです。大いなる神が、これから後に起こることを王に告げられたのです。その夢は正夢で、その意味も確かです。”という解き明かしは、おもに神の王国(神が王として治める王国)のことを言っており、先ずは、キリストが支配する教会、キリストの千年王国、それに続く新天新地における神の王国のことを大雑把に言っているのだろうと思います。

 ダニエル7章も根本的にはダニエル2章と同じです。
 ダニエル11章は、バビロンが滅びた後の預言なので、ペルシアから後の時代の預言がやや詳しく記されています。
特にアンティオコス・エピファネス(治世年代:B.C.175-163年)を「卑劣な者」(ダニエル11:21)と紹介しています。
アンティオコス・エピファネスがどの様な人物であったかについては旧約聖書続編マカバイ記に記されています。
アンティオコス・エピファネスは、大患難時代の反キリストの予型としても見ることができます。
ダニエル書11:1-12:1の預言もダニエル9:24の、
“あなた〔ダニエル(筆者挿入)〕の民とあなたの聖なる都〔エルサレム(筆者挿入)〕について、七十週が定められている。それは、背きをやめさせ、罪を終わらせ、咎の宥めを行い、永遠の義をもたらし、幻と預言を確証し、至聖所に油注ぎを行うためである。”(2017)と記されている神の経綸に基づく範囲内の預言であり、聖書66巻を聖典としている信仰者グループにとっても、ダニエル書は、ネヘミヤ記やマラキ書以降の時代の預言が記されているものであることが分かります。

2019年10月14日 (月)

ダニエル12:9-13 ダニエルはキリストの千年王国において割り当ての地を与えられる

 ダニエル129-13には、
9 彼は言った。「ダニエルよ、行け。このことばは終わりの時まで秘められ、封じられているからだ。10 多くの者は身を清めて白くし、そうして錬られる。悪しき者どもは悪を行い、悪しき者どものだれも理解することがない。しかし、賢明な者たちは理解する。11 常供のささげ物が取り払われ、荒らす忌まわしいものが据えられる時から、千二百九十日がある。12 幸いなことよ。忍んで待ち、千三百三十五日に達する者は。13 あなたは終わりまで歩み、休みに入れ。あなたは時の終わりに、あなたの割り当ての地に立つ。」”(新改訳2017)とあります。

 9節には「彼は言った。「ダニエルよ、行け。このことばは終わりの時まで秘められ、封じられているからだ。」とあります。
ダニエルは、与えられた幻と預言を書き残しましたが、ダニエル自身には、理解不能でした。
しかし、現代では理解できるのです。それは終わりの時代だからです。イエス様を信じることなく大患難時代に突入する人たちの内、その期間の中で死ぬことがなくマタイ25章に記されている羊と山羊の裁きまで生き、もしダニエル書を読んだとしたら、ダニエル1136-122までの箇所も正しく理解することができるでしょう。それはダニエル1136-122までの預言箇所が成就するからです。

 10節には「多くの者は身を清めて白くし、そうして錬られる。悪しき者どもは悪を行い、悪しき者どものだれも理解することがない。しかし、賢明な者たちは理解する。」とあります。
主を信じる者は、その信仰が益々純化されるのです。
主を信じない者は、大患難を通過しつつも悔い改めることはなく、益々主なる神様以外のものに頼るのです。
黙示録820.21には「20 これらの災害によって殺されなかった、人間の残りの者たちは、悔い改めて自分たちの手で造った物から離れるということをせず、悪霊どもや、金、銀、銅、石、木で造られた偶像、すなわち見ることも聞くことも歩くこともできないものを、拝み続けた。21 また彼らは、自分たちが行っている殺人、魔術、淫らな行いや盗みを悔い改めなかった。」(新改訳2017)と記されています。
また黙示録2211には「不正を行う者には、ますます不正を行わせ、汚れた者は、ますます汚れた者とならせなさい。正しい者には、ますます正しいことを行わせ、聖なる者は、ますます聖なる者とならせなさい。」(新改訳2017)と記されています。

 11.12節には「11 常供のささげ物が取り払われ、荒らす忌まわしいものが据えられる時から、千二百九十日がある。12 幸いなことよ。忍んで待ち、千三百三十五日に達する者は。」とあります。
「常供のささげ物が取り払われ、荒らす忌まわしいものが据えられる時から」イエス様の地上再臨までは1260日です。しかし、イエス様が再臨されてからも、神殿や神域、その他の場所がきよめられる時まで30日を要するのだろうと想像します。
型として参考になるのは、アンティオコス四世・エピファネスによって神殿が汚された後、主につくユダヤ人たちは、エルサレムや神殿を取り返し、それをきよめました。ヨハネの福音書に「そのころ、エルサレムで宮きよめの祭りがあった。時は冬であった。」(1022・新改訳2017)と記されている「宮きよめ」ヘブライ語では「ハヌカ」の祭がそれです。
 「千三百三十五日」とは、更に45日後です。
キリストの再臨後になされる事柄の内、まだ行われていない事柄は、マタイ2531-46に記されている羊グループと山羊グループに分ける裁きです。このさばきは、キリストの地上再臨まで大患難を生き抜いた人達、それも世界中の人達に対する裁きです。
羊グループに分けられる人はキリストの千年王国に入れるのです。
山羊グループに入れられた人は永遠の刑罰に入れられるのです。
その裁きの基準は、マタイ2535-36.4042-43.45によります。
「千三百三十五日に達する者」は、キリストの千年王国に入り、その後は新天新地に入り永遠に生きるのです。それ故、この節は「幸いなことよ。」(ヘブライ語で「エシェル」)で始まっています。
 大患難時代は、携挙されずに残された者たちの内、まことの神様を信じる者たちにとっては清められる期間ですが、まことの神様を拒否する人たちにとっては裁きの期間でもあります。
黙示録の第四の封印が開かれると地上の四分の一の人たちが死ぬのです(黙示録63-8)。
第六の封印が開かれると天変地異が起こります(黙示録612-17)。この時にも多くの人たちが死ぬのではないかと思います。
また第七の封印が開かれ、その中の第六のラッパが吹かれた後の裁きでは人間の三分の一が死ぬのです(黙示録913-19)。第一のラッパから第四のラッパの間にも人々は死んでいくでしょう。
そしてその後の第一の鉢から第五の鉢の裁き(黙示録162-10)の間にも多くの人が死ぬでしょう。
第七の鉢の裁きでは、天から約34kg/個の豹が降ってくるのです。
そして、最後のユダヤ人への攻撃、キリストへの攻撃をする人達は、殺されて鳥の餌となるのです(黙示録1612-161911-21、ゼカリヤ122-9)。
 しかし、キリストの地上再臨まで生き残る人たちの数もかなりの数にのぼると思います。生き残った人々を裁くのにイエス様お一人ではとても大変です。この裁きの時に「聖徒たちが世界をさばく」(1コリント62・新改訳2017)ということがあるのでしょう。キリストの花嫁は「聖徒」でもあります。黙示録204a.bには「また私は多くの座を見た。それらの上に座っている者たちがいて、彼らにはさばきを行う権威が与えられた。」(新改訳2017)と記されています。
キリスト者の置かれる立場をエペソ人への手紙は、「・・・。その天の領域で、私たちはキリスト様と共に、席に着いているのです。これはすべて、キリスト・イエスが成し遂げてくださったわざに基づいているのです。」(26・リビングバイブル)と記しています。

 ダニエル書の最後は「13 あなた〔ダニエル(筆者挿入)〕は終わりまで歩み、休みに入れ。あなたは時の終わりに、あなたの割り当ての地に立つ。」(新改訳2017)という聖句で閉じられます。
「あなたは時の終わりに、あなたの割り当ての地に立つ。」とダニエルは言われました。ダニエルは復活の体を与えられてキリストの千年王国において、割り当ての地を与えられるのです。

<お祈り>
天のお父様。
あなたは私たちにあなたのご計画を教えてくださっておられるお方ですから、御名を崇めます。
あなたは「わたしは初めから既に、先のことを告げ、まだ成らないことを、既に昔から約束しておいた。わたしの計画は必ず成り、わたしは望むことをすべて実行する。」(イザヤ4610・新共同訳)と語られるお方です。
私たちはあなたの御約束の中にあって生かされていますからありがとうございます。
天でのイエス様との婚礼、婚宴を待ち望んでいます。
それはなんと素晴らしい時でしょうか。
御名を賛美し、我らの主キリスト・イエス様の御名で祈ります。アーメン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6 また私は、大群衆の声のような、大水のとどろきのような、激しい雷鳴のようなものがこう言うのを聞いた。「ハレルヤ。私たちの神である主、全能者が王となられた。7 私たちは喜び楽しみ、神をほめたたえよう。子羊の婚礼の時が来て、花嫁は用意ができたのだから。8 花嫁は、輝くきよい亜麻布をまとうことが許された。その亜麻布とは、聖徒たちの正しい行いである。」9 御使いは私に、「子羊の婚宴に招かれている者たちは幸いだ、と書き記しなさい」と言い、また「これらは神の真実なことばである」と言った。”(黙示録196-9・新改訳2017

2019年10月13日 (日)

ダニエル12:5-8 主はご自身が用いようと思う者を砕き、主の御用にあたる者が主に100%より頼み、主に栄光を帰するようにされる

 ダニエル125-8には、
5 私ダニエルが見ていると、見よ、二人の人が立っていた。一人は川のこちら岸に、もう一人は川の向こう岸にいた。6 その一人が、川の水の上にいる、あの亜麻布の衣を着た人に言った。「この不思議なことは、いつになると終わるのですか。」7 すると私は、川の水の上にいる、あの亜麻布の衣を着た人が語るのを聞いた。彼はその右手と左手を天に向けて上げ、永遠に生きる方にかけて誓った。「それは、一時と二時と半時である。聖なる民の力を打ち砕くことが終わるとき、これらすべてのことが成就する。」8 私はこれを聞いたが、理解することができなかった。そこで私は尋ねた。「わが主よ、この終わりはどうなるのでしょう。」”(新改訳2017)とあります。

 ダニエル書の101節から続いている一連の話ですから、5.6節の「川」はティグリス川でしょう(ダニエル104)。もし天(てん)の川であると仮定すると、7節の「彼はその右手と左手を天に向けて上げ、永遠に生きる方にかけて誓った。」という文と合わなくなりますから。

 「川の水の上にいる、あの亜麻布の衣を着た人」とは誰でしょうか?
ダニエル105.6には「5私は目を上げた。見ると、そこに一人の人がいて、亜麻布の衣をまとい、腰にウファズの金の帯を締めていた。6そのからだは緑柱石のようで、顔は稲妻のよう、目は燃えるたいまつのようであった。また、腕と足は磨き上げた青銅のようで、彼の語る声は群衆の声のようであった。」とありますから、「亜麻布の衣を着た人」とは、受肉前の御子キリスト・イエス様でしょう。

 川の両岸に一人ずつ二人の人が立っていたのです(5)。この二人はダニエルの知り合いの人でしょうか。それとも天使でしょうか。
二人の天使であると思います。
ダニエル107には「この幻は、私ダニエル一人だけが見て、私と一緒にいた人たちはその幻を見なかった。しかし彼らは大きな恐怖に襲われ、身を隠して逃げ去った。」とあるように、ダニエルと一緒にいた人達は、その場所にはいなかったのです。その上、この二人は、受肉前の三一の神の第二位格の神である御子に平気で話しかけていますから。

 天使は、受肉前の御子に、「この不思議なことは、いつになると終わるのですか。」と質問しました。
御子は、この質問に答えるとき、両手を天に上げ、御父にかけて誓ったのです。
二人の天使は、御子の答弁の二人の証人として立てられているようにさえ思えます。
御子の答弁は間違いなく、かくの如しであったと、証明する者であるかのように。

 御子は、イスラエルに対する未曽有の大患難は、三年半であると語られました(7)。
またダニエル725にも「聖徒たちは、一時と二時と半時の間、彼〔反キリスト(筆者挿入)〕の手に委ねられる。」(新改訳)とありました。
イスラエルに対する大患難の目的は一体何であったのでしょうか?
それは、聖なる民、即ちイスラエル人が、自分の無力を知り、主なる神に100%より頼むようになる為に必要なことなのではないかと思います。即ち、主に感謝し、主に完全に服従し、主にお仕えするために必要なことであったのではないかと思います。
7
節に「聖なる民の力を打ち砕くことが終わるとき、これらすべてのことが成就する。」と記されていますから。

 主は、この箇所の預言と同じような内容を、預言者エレミヤに、
4 主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕がイスラエルとユダについて語られたことばは次のとおりである。5 まことに主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕はこう言われる。「恐れてわななく声を、われわれは聞いた。『恐怖だ。平安がない』と。6 さあ、男に子が産めるか、尋ねてみよ。なぜ、わたしは勇士がみな産婦のように腰に手を当てているのを見るのか。また、どの顔も青ざめているのを。7 わざわいだ。実にその日は大いなる日、比べようもない日。それはヤコブには苦難の時。だが、彼はそこから救われる。8 その日になると──万軍の主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕のことば──わたしはあなたの首のくびきを砕き、あなたのかせを解く。他国人が再び彼を奴隷にすることはない。9 彼らは彼らの神、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕と、わたしが彼らのために立てる彼らの王ダビデ〔千年王国の王キリスト(筆者挿入)〕に仕える。”(新改訳2017)と語っています。

 キリストの千年王国の時代の地上部分の中心は、イスラエルであり、更にその中心はエルサレムです。イザヤ22-4には、
2 終わりの日に、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕の家の山は山々の頂に堅く立ち、もろもろの丘より高くそびえ立つ。そこにすべての国々が流れて来る。3 多くの民族が来て言う。「さあ、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕の山、ヤコブの神の家に上ろう。主はご自分の道を私たちに教えてくださる。私たちはその道筋を進もう。」それは、シオンからみおしえが、エルサレムから主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕のことばが出るからだ。4 主は国々の間をさばき、多くの民族に判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍を鎌に打ち直す。国は国に向かって剣を上げず、もう戦うことを学ばない。”(新改訳2017)とあります。

 イスラエルは祭司の民であるのです。イスラエルに対するヤハウェの最初からの目的は、「あなたがたは、わたしにとって祭司の王国、聖なる国民となる。」(出エジプト196・新改訳2017)というものでした。その目的が100%成就するのが、キリストの千年王国においてであるのです。
そのためには、イスラエルが、大患難を通り、肉の思いが砕かれ、100%主により頼み、主に栄光を帰することができるようにされる必要があったのだと思います。

 8節には「私はこれを聞いたが、理解することができなかった。そこで私は尋ねた。「わが主よ、この終わりはどうなるのでしょう。」とあります。
ダニエルには分からなかったのです。この預言は、後のイスラエル人のため、また主を信じる人達、主を信じた人達のためのものであったのです。
預言者が預言しても、自分ではその預言を完全には理解できなかった時のことを、使徒ペテロは、1ペテロ110-12に、
10 この救いについては、あなたがたに対する恵みを預言した預言者たちも、熱心に尋ね求め、細かく調べました。11 彼らは、自分たちのうちにおられるキリストの御霊が、キリストの苦難とそれに続く栄光を前もって証ししたときに、だれを、そしてどの時を指して言われたのかを調べたのです。12 彼らは、自分たちのためではなく、あなたがたのために奉仕しているのだという啓示を受けました。そして彼らが調べたことが今や、天から遣わされた聖霊により福音を語った人々を通して、あなたがたに告げ知らされたのです。御使いたちもそれをはっきり見たいと願っています。”(新改訳2017)と記しています。

<お祈り>
天のお父様。
あなたの偉大な御名を崇めます。
今日も、主を愛し、主に信頼し、主に感謝しながら歩む一日とさせてください。
我らの主キリスト・イエス様の御名で祈ります。アーメン

2019年10月12日 (土)

ダニエル12:1-4 ダニエルが見た幻の内の、この世の終わりのときに関する天使の解説3

 ダニエル121-4には「1 その時、あなたの国の人々を守る大いなる君ミカエルが立ち上がる。国が始まって以来その時まで、かつてなかったほどの苦難の時が来る。しかしその時、あなたの民で、あの書に記されている者はみな救われる。2 ちりの大地の中に眠っている者のうち、多くの者が目を覚ます。ある者は永遠のいのちに、ある者は恥辱と、永遠の嫌悪に。3 賢明な者たちは大空の輝きのように輝き、多くの者を義に導いた者は、世々限りなく、星のようになる。4 ダニエルよ。あなたは終わりの時まで、このことばを秘めておき、この書を封じておけ。多くの者は知識を増そうと捜し回る。」(新改訳2017)とあります。

 1abには「その時、あなたの国の人々を守る大いなる君ミカエルが立ち上がる。国が始まって以来その時まで、かつてなかったほどの苦難の時が来る。」とあります。
 「その時」とは、キリストの地上再臨の三年半前です。
「あなたの国の人々」とはダニエルの国の人々ですから、イスラエルの人々のことです。異邦人のことではありません。
「その時」と言われている時には、何をもって始まるのでしょうか?
ダニエル927に「彼〔獣=反キリスト(筆者挿入)〕は一週の間、多くの者と同盟を固め、半週でいけにえと献げ物を廃止する。憎むべきものの翼の上に荒廃をもたらすものが座す。そしてついに、定められた破滅が荒廃〔荒らす者(新改訳・口語訳)、反キリスト(筆者挿入)〕の上に注がれる。」(新共同訳)とありますが、キリストの地上再臨の七年前から地上再臨のまでの前半のどこかで、エルサレムの神域にユダヤ教のエルサレム第三神殿(第一神殿はソロモンの神殿、第二神殿はバビロン捕囚から帰還した後に建てられた神殿)が建てられます。しかし、七年の真ん中で、いけにえと献げ物を廃止させられるのです。それだけではありません。神殿に恐らく獣の像或いはサタンの像かも知れませんが、そのような物が置かれるのでしょう。その像には翼があるのです。そこに反キリストは座り、自分を神とするのです。
2
テサロニケにも「不法の者〔「獣」=反キリスト(筆者挿入)〕は、すべて神と呼ばれるもの、礼拝されるものに対抗して自分を高く上げ、ついには自分こそ神であると宣言して、神の宮に座ることになります。」(24・新改訳2017)と記されています。
 キリストの地上再臨の三年半前からキリストの地上再臨までの間のイスラエルには、「国が始まって以来その時まで、かつてなかったほどの苦難の時が来る。」(1)と預言されています。預言者エレミヤも「わざわいだ。実にその日は大いなる日、比べようもない日。それはヤコブ〔イスラエル(筆者挿入)〕には苦難の時。だが、彼はそこから救われる。」(エレミヤ307・新改訳2017)と預言し、イエス様もその時の状況を預言されました(マタイ2415-26)。
 イスラエルの大患難時代の始まりに、大天使ミカエルがイスラエルの人々のために遣わされるのです。ダニエル121cには「しかしその時、あなたの民で、あの書〔いのちの書(筆者挿入)〕に記されている者はみな救われる。」と記されているように「いのちの書」に記されている人々が救われるのです。現在イスラエルにいる人達、また世界に散っているイスラエルの人たち、即ちアブラハムの孫、イサクの子であるヤコブ(イスラエル)の遺伝子を持っている者が、救われるのです。イエス様は、イスラエルの地にいる者だけではなく、世界中からイスラエル人を集めると述べています(マタイ2431)。このことは旧約時代から預言されていました(申命記301-5、イザヤ6046210-12、エゼキエル3721)。
またパウロも、ローマ人への手紙1125-29の中で「こうして、イスラエルはみな救われるのです。」(26)と述べています。
キリストの空中再臨までに、キリスト者にはならなかったけれどもヤコブの遺伝子を持っている人々がいるとすれば、その人たちは皆救われるのです。この様にして救われる人たちは今と同じ肉体をもって、キリストの千年王国に入っていくのです。
ただし、現代のイスラエル国には、イスラエル人と共に、主なる神様がイスラエル人と認めていない人たちも住んでいます。

 2節には「ちりの大地の中に眠っている者のうち、多くの者が目を覚ます。ある者は永遠のいのちに、ある者は恥辱と、永遠の嫌悪に。」とあります。
この節には数千年のスパンのことが記されています。
マタイ2751-53には「51 すると見よ、神殿の幕が上から下まで真っ二つに裂けた。地が揺れ動き、岩が裂け、52 墓が開いて、眠りについていた多くの聖なる人々のからだが生き返った。53 彼らはイエスの復活の後で、墓から出て来て聖なる都に入り、多くの人に現れた。」(新改訳2017)と記され、
1
テサロニケ413-17には「13 眠っている人たちについては、兄弟たち、あなたがたに知らずにいてほしくありません。あなたがたが、望みのない他の人々のように悲しまないためです。14 イエスが死んで復活された、と私たちが信じているなら、神はまた同じように、イエスにあって眠った人たちを、イエスとともに連れて来られるはずです。15 私たちは主のことばによって、あなたがたに伝えます。生きている私たちは、主の来臨まで残っているなら、眠った人たちより先になることは決してありません。16 すなわち、号令と御使いのかしらの声と神のラッパの響きとともに、主ご自身が天から下って来られます。そしてまず、キリストにある死者がよみがえり、17 それから、生き残っている私たちが、彼らと一緒に雲に包まれて引き上げられ、空中で主と会うのです。こうして私たちは、いつまでも主とともにいることになります。」(新改訳2017)と記され、
ヨハネ525-29には「25 まことに、まことに、あなたがたに言います。死人が神の子の声を聞く時が来ます。今がその時です。それを聞く者は生きます。26 それは、父がご自分のうちにいのちを持っておられるように、子〔イエス・キリスト(筆者挿入)〕にも、自分のうちにいのちを持つようにしてくださったからです。27 また父は、さばきを行う権威を子に与えてくださいました。子は人の子〔ダニエル713(筆者挿入)〕だからです。28 このことに驚いてはなりません。墓の中にいる者がみな、子の声を聞く時が来るのです。29 そのとき、善を行った者〔イエス様を信じた者(筆者挿入)〕はよみがえっていのちを受けるために、悪を行った者〔イエス様を信じなかった者(筆者挿入)〕はよみがえってさばきを受けるために出て来ます。」(新改訳2017)とイエス様の御言葉が記され、
黙示録2011-15には「11 また私は、大きな白い御座と、そこに着いておられる方を見た。地と天はその御前から逃げ去り、跡形もなくなった。12 また私は、死んだ人々が大きい者も小さい者も御座の前に立っているのを見た。数々の書物が開かれた。書物がもう一つ開かれたが、それはいのちの書であった。死んだ者たちは、これらの書物に書かれていることにしたがい、自分の行いに応じてさばかれた。13 海はその中にいる死者を出した。死とよみも、その中にいる死者を出した。彼らはそれぞれ自分の行いに応じてさばかれた。14 それから、死とよみは火の池に投げ込まれた。これが、すなわち火の池が、第二の死である。15 いのちの書に記されていない者はみな、火の池に投げ込まれた。」(新改訳2017)と記されています。

 3節には「賢明な者たちは大空の輝きのように輝き、多くの者を義に導いた者は、世々限りなく、星のようになる。」とあります。
「賢明な者たち」とは主を信じた者達、即ち主に従った者たちです。
「多くの者を義に導いた者は、世々限りなく、星のようになる。」とあり、主のもとに導いた人達、即ち、サタンに囚われ霊的暗闇にいる人を光の世界即ち主へと立ち返らせた人は、世々限りなく、星のようになる、というのです。
黙示録211.2.9-11には、
1 また私は、新しい天と新しい地を見た。以前の天と以前の地は過ぎ去り、もはや海もない。2 私はまた、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために飾られた花嫁のように整えられて、神のみもとから、天から降って来るのを見た。
9
また、最後の七つの災害で満ちた、あの七つの鉢を持っていた七人の御使いの一人がやって来て、私に語りかけた。「ここに来なさい。あなたに子羊の妻である花嫁を見せましょう。」10 そして、御使いは御霊によって私を大きな高い山に連れて行き、聖なる都エルサレムが神のみもとから、天から降って来るのを見せた。11 都には神の栄光があった。その輝きは最高の宝石に似ていて、透き通った碧玉のようであった。”(新改訳2017)と記されています。
キリストの花嫁の中に、主が住んでおられ、それ故、花嫁は美しい宝石のように光り輝き続けるのです。
宝石になってしまうのではなく、その様に美しくされ、主と共に生き続けるのです(1テサロニケ417510)。ハレルヤ!

 4節には「ダニエルよ。あなたは終わりの時まで、このことばを秘めておき、この書を封じておけ。多くの者は知識を増そうと捜し回る。」とあります。
「終わりの時」とありますが、終わりの時に関する預言を正しく理解することは難しいのです。しかし、今や、秘められていた奥義が分かるようにされているのです。
 花婿主イエス様は、御父のラッパの合図で、花嫁教会をご自身のもとへと引き上げるのです(携挙)。さて、いつのことでしょうか?そう遠くはないと思いますが、その瞬間が何時なのかは未だに奥義です。
主が来られたとき、熟睡していたらどうしよう、と思う人がいるかも知れませんが、心配はいりません。イエス様は、譬えの中で、「さあ、花婿だ。迎えに出なさい」(マタイ256)と叫ぶような声があると、語っておられますから、熟睡していても起きるのです。
1
テサロニケ416には「号令と御使いのかしらの声と神のラッパの響き」と記されています。

<お祈り>
天のお父様。
あなたの御名を崇めます。
イエス様の花嫁の構成要員のひとりとして、あなたの子供として、霊の体を頂いて、御父と御子である花婿と御子の花嫁を構成している人たちと永遠に暮らせるときを待ち望んでいます。
主は、主が定められたときに、主が約束されたことを一つ一つ成就し続けてくださいますから、御名を崇め感謝します。
我らの主キリスト・イエス様の御名で祈ります。アーメン

2019年10月11日 (金)

ダニエル11:40-45 ダニエルが見た幻の内の、この世の終わりのときに関する天使の解説2

 ダニエル1140-45には「40 終わりの時に、南の王が彼と戦いを交える。北の王は戦車、騎兵、および大船団を率いて南の王を襲撃し、国々に侵入し、洪水のように通り過ぎる。41 彼は麗しい国に攻め入り、多くの者が倒れる。しかし、エドムとモアブ、またアンモン人のおもだった人々は、彼の手から逃げる。42 彼は国々に手を伸ばす。エジプトの地もその手を免れることはない。43 彼は金や銀の秘蔵物と、エジプトのすべての宝物を手に入れ、ルブ人とクシュ人が彼につき従う。44 しかし、東と北からの知らせが彼をおびえさせる。彼は多くのものを絶滅させようとして、激しく怒って戦いに出て行く。45 彼は、海と聖なる麗しい山との間に、本営の天幕を張る。しかし、だれも助ける者はなく、ついに彼は終わりを迎える。」(新改訳2017)とあります。

 この箇所もアンティオコス四世・エピファネスに関するものとして解釈する人がいますが、それは違うと思います。
45
節に「彼は、海〔地中海(筆者挿入)〕と聖なる麗しい山〔エルサレム(筆者挿入)〕との間に、本営の天幕を張る。しかし、だれも助ける者はなく、ついに彼は終わりを迎える。」(新改訳2017)とありますが、この節がアンティオコス四世・エピファネスに合わないのです。アンティオコス四世・エピファネスの最後を1マカバイ記6章から抜粋して下記しますと、
1 アンティオコス王は、奥地の国々を通過していたとき、ペルシアにあるエリマイスが銀と金が豊富なことで有名な町であることを耳にした。2 その町の神殿は、非常に富んでいて、金の兜、胸当て、武器などがあったが、それはマケドニア人の王、フィリポスの子アレクサンドロスが残していったものである。・・。5 ところで、彼がペルシアにいるときに、彼のところに、一人の使者がやって来て報告した。「ユダの地への派遣軍は敗走しました。・・・。8 この言葉を聞いて、王は愕然として激しく震えだし、寝台に倒れ、悲しみのあまり病気になってしまった。・・。9 ・・、彼は何日もそこに留まることを余儀なくされた。彼は死が迫っていることを悟り、10 友人全員を呼び寄せて行った。・・・。16 アンティオコス王は第百四十九年〔ギリシア人の王朝の年による。BC163or4年(筆者挿入)〕にその地で死んだ。”(聖書協会共同訳)となっています。
岩波訳の注は、「アンティオコス四世は、・・、ペルシアのタバイで前164年に客死した。」と述べています。

 ダニエル1140の「終わりの時に」とあるのは、ダニエル1136-39の流れで行くと、この世の終わりのとき、即ち、堕罪したアダムを祖とする人間が、人間を支配する終わりの時のことであると私は思います。その後、キリストの千年王国が始まるのです。
この終わりの時とは、いわゆる大患難時代のことであろうと思います。

 44節には「しかし、東と北からの知らせが彼をおびえさせる。彼は多くのものを絶滅させようとして、激しく怒って戦いに出て行く。」とあります。
東からの恐怖とは、第七の封印(黙示録81)を解いたときに出て来た第六番目のラッパの災いの幻・預言(黙示録913-19)を指しているのだろうと思います。
黙示録916に「騎兵の数は二億で、」と記されています。
黙示録9章の第六番目のラッパの災いの前に、既に相当数、恐らくxy億人位の人が死んでいます。
 黙示録9章以前までの大量死について、
第四の封印が開かれたときには、「今度は、青ざめた馬が姿を現わしました。その馬にまたがる人の名は死でした。そのあとに、地獄という名の人の乗っている馬が続きました。彼らには、戦争とききんと伝染病と獣とによって、地上の人々の四分の一を殺す権威が与えられました。」(黙示録68・リビングバイブル)とあり、
第六の封印が開かれたときには天変地異が起こるのです。
更に黙示録87-12に記されている第一のラッパから第四のラッパの災いでは、森林の三分の一は焼失し、海洋生物の三分の一は死に、人が必要とする水源等の三分の一は利用不能になるのです。更には青草も全部消失してしますのです。更に太陽からの光も三分の二に減衰します。温暖化はなくなりますが寒冷が訪れるでしょう。
 黙示録916にある「騎兵の数は二億」は、以上の災害の後のことですから、これだけの軍隊をエルサレムの方に動員させることの出来る国は、現在で言えば、中国とインド位しかありません。中国は一帯一路政策の結果、ということもあるかも知れませんが、以前よりシルクロードがあるのです。ですから陸上軍を送り出すことが可能なのです。あるいはいくつかの国々の連合軍かも知れません。

 兎に角、この世の終わりは、サバイバル戦争状態がおきても不思議ではないのです。それは、水産資源が枯渇しかかり、地上の食料も極めて少なくなるのですから、地球上の人々は、生きるか死ぬかの状態に置かれているのです。

 第六のラッパの災いで、更に、生存している人口の三分の一が減少するのです。それでも、「20 これらの災害によって殺されなかった、人間の残りの者たちは、悔い改めて自分たちの手で造った物から離れるということをせず、悪霊どもや、金、銀、銅、石、木で造られた偶像、すなわち見ることも聞くことも歩くこともできないものを、拝み続けた。21 また彼らは、自分たちが行っている殺人、魔術、淫らな行いや盗みを悔い改めなかった。」(黙示録9章・新改訳2017)というありさまであると預言されています。

 40節に「南の王」とありますが、これはイスラエルの南ということですから、アフリカの国です。「北の王」とあるのは、イスラエルより北にある国です。
それらの国がどこであるのかについて、私は敢えて記しません。これらの出来事は、キリストの空中再臨によってキリストの花嫁が天に移され後のことであるからです。その時の世界情勢がどのようになっているのか、正確には分からないからです。大患難時代に地上に生きている人々が、ダニエル書のこの箇所を読んだとすれば、明確に分かることでしょう。

 41節に「・・エドムとモアブ、またアンモン人のおもだった人々は、彼の手から逃げる」とあります。この人々は現在のヨルダンに住んでいます。
主なる神様が、大患難時代にイスラエルの血筋のものを守られる場所は、ヨルダンのボツラ(ペトラ)です。主なる神様は、そこへ逃げたイスラエルの民を1260日守り養うのです(黙示録126.14-16、イザヤ631-6)。

45
節に「彼は、海と聖なる麗しい山との間に、本営の天幕を張る。しかし、だれも助ける者はなく、ついに彼は終わりを迎える。」とあります。
これは「獣」と言われる人=反キリストの最後です。
黙示録1920には「しかし、獣〔反キリスト、黙示録131の獣(筆者挿入)〕は捕らえられた。また、獣の前でしるしを行い、それによって獣の刻印を受けた者たちと、獣の像を拝む者たちを惑わした偽預言者〔第二の獣、黙示録1311、背教の宗教指導者(筆者挿入)〕も、獣とともに捕らえられた。この両者は生きたまま、硫黄の燃える火の池に投げ込まれた。」(新改訳2017)と記されています。

 余談になりますが、携挙されたキリスト者は、これらのダニエルの預言が成就している間、天にいます。
この期間、天では、一人一人がキリストの裁きの座に立たされ、評価がなされます(2コリント510)。既に霊の体も与えられており、キリストの地上再臨の前には、天で花婿キリスト・イエス様と花嫁教会(天にいるキリスト者の総体)の結婚式及び披露宴が行われるのです(黙示録196-9)。

<お祈り>
天のお父様。
あなたの御名を崇めます。
イエス様は、見ずして信じる者は幸いです、と語られました。
あなたが与えてくださった聖書を信じる信仰を与えてくださったことを感謝し、主イエス・キリスト様の御名でお祈りします。アーメン

2019年10月10日 (木)

ダニエル11:36-39 ダニエルが見た幻の内の、この世の終わりのときに関する天使の解説1

 ダニエル1136-39には「36 この王は思いのままにふるまい、すべての神よりも自分を高く上げて大いなるものとし、神々の神に向かって驚くべきことを語る。彼は栄えるが、ついには神の憤りで滅ぼし尽くされる。定められていることがなされるからである。37 彼は先祖の神々を心にかけず、女たちの慕うものも、どんな神々も心にかけない。すべてにまさって自分を大いなるものとするからだ。38 その代わりに彼は砦の神をあがめ、金、銀、宝石、宝物をもって、彼の先祖たちが知らなかった神をあがめる。39 彼は異国の神の助けによって城壁のある砦を取り、彼が認める者には栄誉を増し加え、多くのものを治めさせて、代価として国土を分け与える。」(新改訳2017)とあります。

 36節には「この王は思いのままにふるまい、すべての神よりも自分を高く上げて大いなるものとし、神々の神に向かって驚くべきことを語る。彼は栄えるが、ついには神の憤りで滅ぼし尽くされる。定められていることがなされるからである。」とあり、「この王」は、
①すべての神よりも自分を高く上げて大いなるものとし
②神々の神に向かって驚くべきことを語る
と預言されています。
アンティオコス四世・エピファネスと解釈する人も多いですが、アンティオコス四世・エピファネスは、①②に該当する人ではありませんでした。エルサレム神殿に偶像を置いたのです。
 マカバイ記141-50には「王〔アンティオコス・エピファネス(筆者挿入)〕は王国全土に、すべての人々が一つの民族となるように、そして、42 おのおの自分の慣習を捨てるようにと、書き送った。そこで異邦人たちは皆、王の命令に従った。43 また、イスラエルの多くの者たちが、進んで王の崇敬を受け入れ、偶像にいけにえを献げ、安息日を汚した。44 さらに、王は使者を立て、エルサレム並びにユダの町々に文書を送った。その内容は、この地に無縁な者たちの慣習に従い、45 聖所での焼き尽くす献げ物、いけにえ、注ぎの供え物をやめ、安息日や祝祭日を冒瀆し、46 聖所と聖なる人々を汚し、47 異教の祭壇、神域、偶像の宮を造り、豚や不浄な動物をいけにえとして献げ、48 息子たちは無割礼のままにしておき、あらゆる不浄や瀆聖で身を汚し、自らを忌むべきものとすることであった。49 これは、そのようにして人々が律法を忘れ、おきてをすべてかえてしまうようにするという目的によるものであった。50 そして王〔アンティオコス・エピファネス(筆者挿入)〕のこの言葉に従わない者は死刑に処せられることになった。」(聖書協会共同訳)と記されています。
 マカバイ記147に「異教の祭壇、神域、偶像の宮を造り」とありますが、アンティオコス四世・エピファネスは、「主の宮」(神殿)をゼウスの神殿としたのです(ウィキペディアのマカバイ戦争参照)。

 聖書の中に、「すべての神よりも自分を高く上げて大いなるものとし、神々の神に向かって驚くべきことを語る」(36)と記されています。
それは「獣」=反キリストです。
 黙示録13章には、獣が二人出てくると預言されています。一人は政治的支配者であり、もう一人は宗教的支配者です。宗教的支配者である獣(黙示録1311)は、政治的支配者であるである獣(反キリスト)を礼拝させ、またその獣の像を造らせ、その像に礼拝させるのです。獣の像に礼拝をしない者は殺されるのです(黙示録1312-15)。
「神々の神に向かって驚くべきことを語る」(ダニエル1136)とありますが、黙示録136には「獣は神を冒瀆するために口を開いて、神の御名と神の幕屋、また天に住む者たちを冒瀆した。」(新改訳2017)と記されています。
「すべてにまさって自分を大いなるものとする」(ダニエル1137)と記されている通りです。

 38節には「その代わりに彼は砦の神をあがめ」とありますが、「獣」は自分を神としているのですから、これはゼウス神とかではなく、原爆、水爆、戦闘機、ミサイル、・・・・等々のようなものを指して神としているのではないかと想像します。

 38節を聖書協会共同訳は「その代わりに、彼〔獣(筆者挿入)〕は砦の神を崇める。彼は、金、銀、宝石や財宝で、先祖たちが知らなかった神を崇め〔飾り立てる(新共同訳)〕、」と訳しています。
この預言は、私たちにとっても未来のことですから、正確には分かりませんが、①武器を神とし、②金銀宝石で飾り立てた獣の像を神として礼拝させることを指しているのではないかと想像します。

 39節には「彼は異国の神の助けによって城壁のある砦を取り、彼が認める者には栄誉を増し加え、多くのものを治めさせて、代価として国土を分け与える。」(新改訳2017)とあります。
終末の七年間には、ある時から、恐らくキリスト教会から出た第二の獣によって、新しい宗教が出来上がっているのです。それが「異国の神」であろうと思います。黙示録17章では「女」「大淫婦」と記されているものです。霊的な「淫婦」ですからまことの神から背教したものです(2テサロニケ23)。
ダニエル927によると、キリストの地上再臨の三年半前にエルサレムの城壁の中にある、その時代に建てられたエルサレムのユダヤ神殿に反キリストが立つのです。
イエス様は、このことを指して「預言者ダニエルの言った憎むべき破壊者が、聖なる場所に立つのを見たら・・読者は悟れ・・、」(マタイ2415・新共同訳)と語られました。

聖なるところを破壊する者、即ち「獣」=反キリストを、イエス様も「憎むべき破壊者」と語られています。
この時代は、教会時代ではないのです。黙示録は、3章をもって教会時代に終わりを告げています。

余談になりますが、ヨハネ138は、二通りに訳すことができるようです。
①「地上に住む者で、天地創造の時から、屠られた小羊の命の書にその名が記されていない者たちは皆、この獣を拝むであろう。」(新改訳2017)という訳と、
②「地上に住む者で、屠られた小羊の命の書に、天地創造の時からその名が記されていない者は皆、この獣を拝むであろう。」(聖書協会共同訳)とある中の「屠られた小羊の命の書に、天地創造の時からその名が記されていない者」の別訳として「天地創造の時から屠られた子羊の命の書に、その名が記されていない者」という別訳の二通りがあります。
いずれにしても、大患難時代に、獣を拝まない人は、「いのちの書」に名前が書かれている人です。主なる神様は100%の予知能力をお持ちですから。
予知に関する聖句から一つを取り上げて、1ペテロ12を記すと「すなわち、イエス・キリストに従い、かつ、その血のそそぎを受けるために、父なる神の予知されたところによって選ばれ、御霊のきよめにあずかっている人たちへ。恵みと平安とが、あなたがたに豊かに加わるように。」(口語訳)とあります。
また「予知」と訳された語の原語は(ギ)「プログノーシス」で、事前の考慮、計画、の意もありますので、新共同訳は、「あなたがたは、父である神があらかじめ立てられた御計画に基づいて、”霊”によって聖なる者とされ、イエス・キリストに従い、また、その血を注ぎかけていただくために選ばれたのです。恵みと平和が、あなたがたにますます豊かに与えられるように。」と訳したのかな、と推測します。

<お祈り>
天のお父様。
大患難時代に、獣の像を拝まず、まことの神様を信じると告白することは容易なことではありませんが、あなたの全能の御力をもって、いのちの書に名をしるされている人達を偶像礼拝からお守りくださいますから御名を崇めます。
あなたは私たちの信仰を守り、永遠に至らせてくださるお方ですから感謝します。
我らの主キリスト・イエス様の御名で祈ります。アーメン

2019年10月 9日 (水)

ダニエル11:29-35 ダニエルが見た幻の内の、アンティオコス四世・エピファネスについての天使の解説3

 ダニエル1129-35には「29 定めの時に、彼は再び南へ攻めて行くが、この二度目は初めの時のようではない。30 キティムの船が彼に立ち向かって来るので、彼は落胆して引き返し、聖なる契約にいきりたって事を行う。彼は帰って行って、その聖なる契約を捨てた者たちに心を向けるようになる。31 彼の軍隊は立ち上がり、砦である聖所を冒(おか)し、常供のささげ物を取り払い、荒らす忌まわしいものを据える。32 彼は、契約に対して不誠実にふるまう者たちを巧言をもって堕落させるが、自分の神を知る人たちは堅く立って事を行う。33 民の中の賢明な者たちは、多くの人を悟らせる。彼らは、一時は剣にかかり、火に焼かれ、捕らわれの身となり、かすめ奪われて倒れる。34 彼らが倒れるとき、彼らへの助けは少なく、彼らにくみする者には巧みなことばを使う者が多い。35 賢明な者たちのうちには倒れる者もあるが、それは終わりの時までに、彼らが錬られ、清められ、白くされるためである。それは、定めの時がまだ来ないからである。」(新改訳2017)とあります。

 29.30節には「「29 定めの時に、彼は再び南へ攻めて行くが、この二度目は初めの時のようではない。30 キティムの船が彼に立ち向かって来るので、彼は落胆して引き返し、聖なる契約にいきりたって事を行う。彼は帰って行って、その聖なる契約を捨てた者たちに心を向けるようになる。」とあります。
 新共同訳スタディ版の注によると、「BC168年、アンティオコス四世は再びエジプト侵略をもくろんだが、西から来たローマの船団によって阻止された。」とあります。
「キティム」はキプロスです。
ウィキペディアの紀元前168年の項からこの預言に関すると思われる記事には、
“アンティオコス4世はその後エジプトに再び侵攻し、下エジプトを占拠して軍はアレクサンドリア郊外に拠点を構えた。しかしローマの大使Gaius Popillius Laenasがそれに介入した。彼はアンティオコス4世に、エジプトとキプロスから即刻立ち退くよう最後通告を送った。不意を突かれたアンティオコスは検討する時間を求めたが、Popilliusは王の周りの地面に杖で円を描き、アンティオコスがこの円から出る前に明確な回答をするよう求めた。ローマとの戦争を恐れ、王は大使の要求に従うことを決めた。その見返りとして、ローマはアンティオコス4世がシリア南部を保有することを認めた。”と記されています。

 ローマの介入により、ローマに従わざるを得なかったアンティオコス四世・エピファネスは、イスラエルに方向を転換し、30節にある「聖なる契約にいきりたって事を行う」とあるように、再び主なる神様に対して、また主に従うユダヤ人に対して悪を重ねるという預言です。

 31節に「彼の軍隊は立ち上がり、砦である聖所を冒(おか)し、常供のささげ物を取り払い、荒らす忌まわしいものを据える。」とありますが、アンティオコス四世・エピファネスは、エルサレム神殿に偶像を据えることまでするのです。話は飛びますが、この世の終わりにも反キリスト(獣)によって、据えられるものは異なりますが、同じようなことが起こります。アンティオコス四世・エピファネスが主と主に従う者たちに行う事柄が反キリストの予型になっています。

 32節の「彼は、契約に対して不誠実にふるまう者たちを巧言をもって堕落させるが、自分の神を知る人たちは堅く立って事を行う。」という預言も成就しました。
「契約に対して不誠実にふるまう者たち」とは、主に従わない者たち、即ち律法を守らない者たちということです。そのような人は、アンティオコス四世・エピファネスによって益々堕落するのです。
「自分の神を知る人たちは堅く立って事を行う。」というのは、主に従う人達は、主に従い続けるということです。

 33-35節には「33 民の中の賢明な者たち〔霊的悟りのある人達(筆者挿入)〕は、多くの人を悟らせる。彼らは、一時は剣にかかり、火に焼かれ、捕らわれの身となり、かすめ奪われて倒れる。34 彼らが倒れるとき、彼らへの助けは少なく、彼らにくみする者には巧みなことばを使う者が多い。35 賢明な者たちのうちには倒れる者もあるが、それは終わりの時までに、彼らが錬られ、清められ、白くされるためである。それは、定めの時がまだ来ないからである。」という預言が記されています。

 これまでにも書いて来ましたが、このダニエルへの幻、天使による解き明かしの預言は、紀元前6世紀のものであり、この幻、預言が成就したのは紀元前2世紀のことでした。

 マカバイ記(預言ではなく起こった事が記されています)より、ダニエル113-35の預言に関係のある、というか成就しているいくつかをピックアップして記します。
ダニエル113の預言に対しては、マカバイ記11-7に記されています。
ダニエル114-20の預言の箇所についてマカバイ記は、「8 それから彼〔アレクサンドロス三世(筆者挿入)〕の部下たちは、おのおの自分の地を支配した。9彼〔アレクサンドロス三世(筆者挿入)〕の死後、彼らはみな王冠をかぶり、また、彼らの子孫も長年にわたり後を継ぎ、諸悪が地にはびこった。」(1章・聖書協会共同訳)と簡略に記しています。

 「彼に代わって、一人の卑劣な者〔アンティオコス四世エピファネス(筆者挿入)〕が起こる。」(ダニエル1120・新改訳)と預言されている箇所について、マカバイ記110は、「そして彼らの中から罪深い芽、アンティオコス・エピファネスが現れた。彼はアンティオコス王の王子でローマに人質となっていたが、ギリシア人の王朝第百三十七年に王となった。」(聖書協会共同訳)と記しています。〔マカバイ記は、紀元前(BC)を使用せず、ギリシア人の王朝第〇×△年と記しています。これは当たり前のことで、マカバイ記は紀元前に記された書であるからです。〕

 ダニエル1130に「聖なる契約を捨てた者たち」と預言されていますが、1マカバイ記111-15には、「11 その頃、イスラエルには律法に背く者たちが現れ、『周囲の異邦人と契約を結ぼう。彼ら〔異邦人(筆者挿入)〕と関係を絶ってからは万事につけ悪いことばかりだから』と、多くの者を説得した。12 その申し出は人々の目には良いと見えたので、13 民の中のある者たちは進んで王〔アンティオコス四世エピファネス(筆者挿入)〕のもとに出かけて行き、王は異邦人の定めを行う権威を与えた。14 こうして彼らは異邦人の慣習に従ってエルサレムに体育場〔(ギ)ギュムナシオン(聖書協会共同訳の注)〕を建て、15 割礼の痕を消し、聖なる契約から離反し、異邦人と軛を共にし、悪行に身を売り渡した。」(聖書協会共同訳)と記されています。

  前回記した箇所ですが、ダニエル1128に「彼は多くの財宝を携えて自分の国に帰る。彼の心は聖なる契約に敵対して事を行い、彼は自分の国に帰って行く。」(新改訳2017)とありました。
この預言の成就と預言が成就した結果について、1マカバイ記1章は、
20 こうしてアンティオコスはエジプトを打ち破った後、第百四十三年に矛先を転じ、大軍と共にイスラエルに、そしてエルサレムに上って来た。21 アンティオコスは不遜にも聖所に入り込み、金の祭壇、光の燭台とその付属品一切、22 供えのパンの机、注ぎの供え物用の杯、椀、金の香炉、垂れ幕、冠を奪い、神殿の正面を飾る金の装飾をすべて剝(は)ぎ取った。23 さらに銀と金と貴重な祭具類、隠されていた宝をも見つけ出して奪い取った。24 そしてすべてを略奪すると自国に帰った。彼は人々を殺戮し、大言壮語した。25 イスラエルの全地に、大いなる悲しみが起こり、26 指導者、長老たちは呻き、年若き男女はやつれ、女たちの美しさは変わり果てた。27 花婿は皆、哀歌を口にし、花嫁は婚姻の床で悲嘆にくれた。28 大地もその地に住む者に対して揺れ動き、ヤコブの全家は恥辱を身にまとった。”(聖書協会共同訳)と記しています。

 ダニエル1131に「彼の軍隊は立ち上がり、砦である聖所を冒(おか)し、常供のささげ物を取り払い、荒らす忌まわしいものを据える。」という預言がありますが、この箇所の前半部分については書くのを省略(1マカバイ記129-53)します。最後の部分を1マカバイ記154aは「第百四十五年、キスレウの月の十五日には、王〔アンティオコス四世エピファネス(筆者挿入)〕は祭壇の上に『荒廃をもたらす憎むべきもの』を建てた、・・」(聖書協会共同訳)とあり、「・・」の箇所は「人々は周囲のユダの町々に異教の祭壇を築き、55 家々の戸口や大路で香をたき、56 律法の巻物を見つけてはこれを引き裂いて火にくべた。」と続いています。

 ダニエル1132-35には「32 彼〔アンティオコス四世エピファネス(筆者挿入)〕は、契約に対して不誠実にふるまう者たちを巧言をもって堕落させるが、自分の神〔ヤハウェ(筆者挿入)〕を知る人たちは堅く立って事を行う。33 民の中の賢明な者たちは、多くの人を悟らせる。彼らは、一時は剣にかかり、火に焼かれ、捕らわれの身となり、かすめ奪われて倒れる。34 彼らが倒れるとき、彼らへの助けは少なく、彼らにくみする者には巧みなことばを使う者が多い。35 賢明な者たちのうちには倒れる者もあるが、それは終わりの時までに、彼らが錬られ、清められ、白くされるためである。それは、定めの時がまだ来ないからである。」という預言が記されています。
 1マカバイ記157-63には、「57 契約の書〔律法の書(筆者挿入)〕を隠していることが発覚した者、律法に適(かな)った生活をしている者は、王〔アンティオコス四世エピファネス(筆者挿入)〕の裁きにより処刑された。58 悪人たちは毎月、町々でイスラエル人を見つけては彼らの暴行を加えた。59 そして月の二十五日には主の祭壇上にしつらえた異教の祭壇でいけにえを献げた。60 また、子どもに割礼を受けさせた母親を王の命令で殺し、61 その乳飲み子を母親の首につるし、母親の家の者たちや割礼を施した者たちをも殺した。62 だがイスラエル人の多くはそれにも屈せず、断固として不浄のものを口にしなかった。63 彼らは、食物によって身を汚して聖なる契約に背くよりは、死を選んで命を落としていった。」(聖書協会共同訳)と記されています。

<お祈り>
天のお父様。
あなたは「死に至るまで忠実でありなさい」と言われる方です。
もしも、迫害が起きたとしても、忠実に主に従い続ける者であらせてください。
そのような迫害の中にあるとき、あなたは私たちの求めに従って、私たちをより一層強め励ましてくださるお方ですから御名を崇めて感謝します。
御名をほめたたえつつ主イエス・キリスト様の御名でお祈りします。アーメン

2019年10月 8日 (火)

ダニエル11:25-28 ダニエルが見た幻の内の、アンティオコス四世・エピファネスについての天使の解説2

 ダニエル1125-28には「25 彼は勢力と勇気を駆り立て、大軍勢を率いて南の王に立ち向かう。南の王も非常に強い大軍勢を率い、奮い立ってこれと戦うが、抵抗することができなくなる。南の王に対して計略をめぐらす者たちがいるからである。26 彼のごちそうにあずかる者たちが彼を滅ぼし、彼の軍勢は押し流され、多くの者が刺し殺されて倒れる。27 この二人の王は、心で悪事を謀りながらも、一つの食卓に着いて、まやかしを言い合う。しかし、成功はしない。終わりは、まだ定めの時を待たなくてはならないからだ。28 彼は多くの財宝を携えて自分の国に帰る。彼の心は聖なる契約に敵対して事を行い、彼は自分の国に帰って行く。」(新改訳2017)とあります。

 本文はダニエルが見た幻を天使が解き明かした内容です。これはBC6世紀のことでした。この幻が成就したのはBC2世紀のことです。
これは第二回エジプト遠征の預言です。
本文中に、歴史的史実を挿入してもう一度この箇所を記します。
 「25 彼〔アンティオコス四世エピファネス(筆者挿入)〕は勢力と勇気を駆り立て、大軍勢を率いて南の王〔プトレマイオス六世フィロメトール(筆者挿入)〕に立ち向かう。南の王〔プトレマイオス六世フィロメトール(筆者挿入)〕も非常に強い大軍勢を率い、奮い立ってこれ〔アンティオコス四世エピファネスの軍勢(筆者挿入)〕と戦うが、抵抗することができなくなる。南の王に対して計略をめぐらす者たち〔プトレマイオス六世フィロメトールの配下に王を裏切る貴族たち(筆者挿入)〕がいるからである。26 彼〔プトレマイオス六世フィロメトール(筆者挿入)〕のごちそうにあずかる者たちが彼を滅ぼし、彼の軍勢は押し流され、多くの者が刺し殺されて倒れる。27 この二人の王〔アンティオコス四世エピファネスとプトレマイオス六世フィロメトール(筆者挿入)〕は、心で悪事を謀りながらも、一つの食卓に着いて、まやかしを言い合う。しかし、成功はしない。終わりは、まだ定めの時を待たなくてはならないからだ。28 彼〔アンティオコス四世エピファネス(筆者挿入)〕は〔エジプトから(筆者挿入)〕多くの財宝を携えて自分の国に帰る。〔その途中エルサレムを通り(筆者挿入)〕彼〔アンティオコス四世エピファネス(筆者挿入)〕の心は聖なる契約〔律法(筆者挿入)〕に敵対して事を行い〔エルサレム神殿の主の聖具を奪い取り、ユダヤ人たちを殺し(筆者挿入)〕、彼は自分の国に帰って行く。」(新改訳2017)となります。

 ダニエル1128に「彼は多くの財宝を携えて自分の国に帰る。彼の心は聖なる契約に敵対して事を行い、彼は自分の国に帰って行く。」(新改訳2017)とありました。
この預言の成就と預言が成就した結果について、1マカバイ記1章は、
20 こうしてアンティオコスはエジプトを打ち破った後、第百四十三年に矛先を転じ、大軍と共にイスラエルに、そしてエルサレムに上って来た。21 アンティオコスは不遜にも聖所に入り込み、金の祭壇、光の燭台とその付属品一切、22 供えのパンの机、注ぎの供え物用の杯、椀、金の香炉、垂れ幕、冠を奪い、神殿の正面を飾る金の装飾をすべて剝(は)ぎ取った。23 さらに銀と金と貴重な祭具類、隠されていた宝をも見つけ出して奪い取った。24 そしてすべてを略奪すると自国に帰った。彼は人々を殺戮し、大言壮語した。25 イスラエルの全地に、大いなる悲しみが起こり、26 指導者、長老たちは呻き、年若き男女はやつれ、女たちの美しさは変わり果てた。27 花婿は皆、哀歌を口にし、花嫁は婚姻の床で悲嘆にくれた。28 大地もその地に住む者に対して揺れ動き、ヤコブの全家は恥辱を身にまとった。”(聖書協会共同訳)と記しています。

<お祈り>
天のお父様。
エルサレム神殿が荒らされるときには、それなりの理由があってのことと思います。
ソロモンの神殿が破壊されたときの理由は主に対して悪を行い続けたからであるということを列王記等が教えてくれています。
AD70年に神殿が破壊されたのは、あなたのひとり後の御子をイスラエルが拒否したからであるとイエス様が語られました。
アンティオコス四世エピファネスによって神殿が荒らされ、ユダヤ人たちが殺されたのもそれなりの理由があるのかな、と思います。
あなたは、あなたの民を悔い改めに導くために、あえてこのようなことを許されることがあることを覚えます。
どうか、あなたにこのようなことをさせてしまうことがないように、日々あなたを愛し、あなたに従う者であらせてください。
主イエス・キリスト様の御名でお祈りします。アーメン

2019年10月 7日 (月)

ダニエル11:21-24 ダニエルが見た幻の内の、アンティオコス四世・エピファネスについての天使の解説1

 21節には「彼に代わって、一人の卑劣な者が起こる。彼には国の権威は与えられないが、不意にやって来て、巧みなことばを使って国を奪い取る。」(新改訳2017)とあります。
新共同訳は「代わって立つ者は卑しむべき者〔軽蔑すべき者(聖書協会共同訳)〕で、王としての名誉は与えられず、平穏な時期に現れ、甘言を用いて王権を取る。」と訳し、
口語訳は「彼に代って起る者は、卑しむべき者であって、彼には、王の尊厳が与えられず、彼は不意にきて、巧言をもって国を獲るでしょう。」と訳しています。
 「彼に代わって、一人の卑劣な者が起こる」とある「卑劣な者」とは、アンティオコス四世・エピファネス(BC175-164年)です。この人が聖所に行なったこと、イスラエルにしたことと同じようなことを、この世の最後の世界統治者である「獣」(黙示録131)=反キリストも行います。ですからそのような意味で、アンティオコス四世・エピファネスは、「獣」=反キリストの予型です。

 アンティオコス四世・エピファネスについて、ウィキペディアから一部抜粋(+加筆)すると、
アンティオコス四世・エピファネス(紀元前215年?-紀元前163年)は、
“紀元前二世紀のセレウコス朝シリアの王(在位:BC175-163年)。〔エジプトの(筆者挿入)〕プトレマイオス朝を圧倒したことでユダヤを支配下に治めたが、やがてマカバイ戦争を引き起こすことになった。
アンティオコス四世・エピファネスは、アンティオコス三世の子としてセレウコス四世フィロパトルの弟として生まれた。アンティオコス4世はもともとミトラダテスという名前であったが、即位後(あるいは兄アンティオコスの死後)アンティオコス4世という名前を持ったようである。アンティオコス4世はセレウコス4世の死後権力の座についた。彼は紀元前188年にシリアと共和制ローマの間で結ばれたアパメア和約を受けて、ローマへの人質となり、同地で暮らしたが、セレウコス4世の正統な後継者である嫡子(後のデメテリオス一世・ソーテール)と交換されてシリアへ戻った。アンティオコスはこの機会を逃さず、まだ幼いセレウコス4世の継承者アンティオコス王子の摂政の座につき、数年してアンティオコス王子を葬ることに成功した。”とあります。
 
 21節について、新聖書注解は、“アンティオコス・エピファネスは「卑劣な者」と呼ばれている。彼はセレウコス四世の弟であったが、セレウコス四世の息子デメトリオス・ソーテールが王位を継ぐことに反対し、ペルガモの王を自分の味方につけ、「巧言を使って」デメトリオスに味方する者たちの反対をかわして王位を手にした。「国の尊厳は与えられない」は、正当な王位継承者ではないという意味。”と述べています。
また、岩波訳の注は、「アンティオコス四世は、セレウコス四世失脚のときローマにあったが、急遽帰国して、王とは名ばかりの、セレウコス四世の幼児を除いて王位につく。」と述べています。

 22節を口語訳は「洪水のような軍勢は、彼の前に押し流されて敗られ、契約の君たる者もまた敗られるでしょう。」と訳し、
新改訳第三版は「洪水のような軍勢も、彼によって一掃され、打ち砕かれ、契約の君主もまた、打ち砕かれる。」と訳し、
岩波訳は「彼に向って押し寄せる軍隊は押しやられ、契約の君すらも絶(た)たれる。」と訳しています。
「契約の君」とはユダヤの大祭司オニアス三世のことです。
22
節の後半を新改訳2017は「契約の君主さえも一掃されて打ち砕かれる。」と訳しています。
ウィキペディアを参考にすると、大祭司オニアス三世(紀元前185 - 175年)は、「弟ヤソンにより大祭司の位を廃位される。前170年に殺害される。」とあり、
弟ヤソン(紀元前175-172年)は、「ヨシュア(イエス)とも呼ばれた。兄オニアス3世を失脚させ、アンティオコス四世エピファネスに任命される。メネラオスに追われ、地位奪回を目指して失敗する(紀元前168年)。」とあります。

 23.24節を新改訳2017は「23 彼は〔恐らくエジプトのプトレマイオス朝と(筆者挿入)〕同盟を組んだ後で欺き、少ない人数で勢力を増していく。24 彼は不意にその〔エジプト?の(筆者挿入)〕州の肥沃な地域に侵入し、彼の父たちも、父の父たちもしなかったことを行う。彼は、そのかすめ奪った物、分捕り物、財宝を、自分たちの間で分け合う。彼は計略をめぐらして要塞を攻めるが、それは、〔主なる神の定めの(筆者挿入)〕時が来るまでのことである。」と訳し、
新改訳第三版は「23 彼は、同盟しては、これを欺き、ますます小国の間で勢力を得る。24 彼は不意に州の肥沃な地域に侵入し、彼の父たちも、父の父たちもしなかったことを行う。彼は、そのかすめ奪った物、分捕り物、財宝を、彼らの間で分け合う。彼はたくらみを設けて、要塞を攻めるが、それは、時が来るまでのことである。」と訳し、
リビングバイブルは「23 この王〔アンティオコス四世エピファネス(筆者挿入)〕の約束は反古同然で、そのやり口は最初から欺きによる。ほんの一にぎりの側近によって、彼は強大な権力者にのし上がる。24 彼は不意に、その国〔エジプト(新聖書注解)〕の最も肥沃な地域に侵入し、だれもしたことがないようなことをする。富める者たちの富と財産を取り上げて、味方の者に気前よく与える。その領土内の強力な要塞をうまく包囲し、攻略する。だが、これも短期間のことだ。」と訳しています。

 ウェスレアン聖書注解は、23.24節に関連し、“アンティオコスの権勢に向けての出世は異常で、同盟と策略により、彼は周囲に「小国の間」で強力な軍団を集めた。第一回エジプト遠征で「彼の父たちも・・・しなかった」ことを成し遂げることができた。すなわち、いつでも戻ることができ、容易にそれを攻め落とすことができるためにその地を偵察したのである。「彼はたくらみを設けて要塞を攻める。」そのようなやり方で、アンティオコスは地中海の全域攻略をしようと巧みに前進していた。しかしながら、彼は一つの強力な要素を考慮することに失敗した。それは神が歴史を支配されているということである。”と述べています。
 さて、24節cの「彼は計略をめぐらして要塞を攻めるが」とある「要塞」とは、上記の説明とは異なり、リビングバイブルの「その領土〔エジプト(筆者挿入)〕内の強力な要塞をうまく包囲し」に訳出されていることを指すのであろうと思います。
1マカバイ記1:19には「アンティオコス軍はエジプトの地にある要塞都市を次々に攻め落とした。」(聖書協会共同訳)と記されています。


<お祈り>
天のお父様。
あなたの御名を崇めます。
人間は歴史を支配するあなたのもとにあって生かされている存在であることを覚えます。
それと共に私たちキリスト者は、その様に偉大であられるあなたの内に在って、あなたの愛に包まれて生かされている存在でありますから御名を崇めて感謝します。
今日もあなたの愛を実感しつつ歩ませて頂けただける一日とさせてください。
我らの主キリスト・イエス様の御名で祈ります。アーメン

2019年10月 6日 (日)

ダニエル11:4-20 ダニエルが見た幻の内、アレクサンドロス三世からアンティオコス四世・エピファネスの前まで、についての天使の解説

 ダニエル114-20の本文に注釈を挿入して記します。
 尚「共ス挿入」と表記してあるのは、「新共同訳スタディ版の注の挿入」のことです。
 “4 その〔アレクサンドロス三世の(筆者挿入)〕支配が〔ギリシア帝国に(筆者挿入)〕確立するやいなや〔アレクサンドロス三世はBC32332歳で死去し(筆者挿入)〕、この王国は砕かれて、天の四方向に分割される〔ギリシア帝国はアレクサンドロス三世の配下の四人の将軍の間で分割された(筆者挿入)〕。彼の子孫はこれを継がず〔アレクサンドロス四世はBC310年に暗殺された(筆者挿入)〕、だれも彼〔アレクサンドロス三世(筆者挿入)〕のような支配力を持つ者はない。この王国は根こそぎにされ、子孫以外の支配者たちに帰する〔やがてギリシア帝国の大部分はカッサンドロス朝、リュシマコス朝、セレウコス朝シリア、プトレマイオス朝エジプトに分割されていきました(筆者挿入)〕。5 このうち、南〔エジプト(筆者挿入)〕の王となった者〔プトレマイオス一世{BC323-285}(共ス挿入)〕は強くなるが、将軍の一人〔セレウコス一世ニカトール{BC312-280}、セレウコスは北のシリアに王国を築いた(共ス挿入)〕が王をしのぐ権力を取り、大いに支配する〔彼の権力よりも大きな権力をもって治める(新改訳2017)〕。6 何年か後、二国は和睦し、南の王〔エジプトの王プトレマイオス二世フィラデルフォス{BC285-246年}(共ス挿入)〕の娘〔ベレニケ(共ス挿入)〕は北の王〔シリアの王アンティオコス二世テオス{BC261-246年}に嫁ぎ、両国の友好を図る。だが、彼女〔ベレニケ(共ス挿入)〕は十分な支持を得ず、その子孫も力を持たない。やがて、彼女も、供の者も、彼女の子らも、その支持者らも裏切られる〔アンティオコス二世の前妻ラオディケがアンティオコス二世とベレニケを殺害する(共ス挿入)〕。7 だが、彼女〔ベレニケ(筆者挿入)〕の実家から一つの芽が出て支配の座に着き〔ベレニケの兄弟プトレマイオス三世エウエルゲテス{BC246-222年}(共ス挿入)〕、北の王の城塞〔シリア(共ス挿入)〕に攻め入ってこれを破り、勝利を得る。8 彼〔プトレマイオス三世エウエルゲテス(筆者挿入)〕は戦利品として、鋳物の神像や金銀の財宝をエジプトに運び去る。その後何年か、北の王に対して手を出さない。9 北の王〔セレウコス二世カリニコス{BC246-226年}は南の王国〔エジプト(筆者挿入)〕に向かって行くが、自分の国に引き揚げる〔侵略は失敗した(共ス挿入)〕。10 その子ら〔セレウコス三世{BC226-223}、アンティオコス三世{BC223-187}(共ス挿入)〕は奮い立って進軍し、洪水のような一進一退の後、敵〔エジプト(筆者挿入)〕の城塞に攻め寄せる。11 南の王〔プトレマイオス四世フィロパトル{BC221-203年}(共ス挿入)〕は激怒して〔BC217年に(共ス挿入)〕出陣し、北の王〔アンティオコス三世(共ス挿入)〕と戦う。北の王〔シリアのアンティオコス三世(筆者挿入)〕は大軍を集めて立ち向かうが、彼らは〔ラフィアにて(筆者挿入)〕敵〔エジプトのプトレマイオス四世(筆者挿入)〕の手に陥る。12 この大軍〔シリアのアンティオコス三世の大軍(筆者挿入)〕を捕らえて〔捕虜とし(筆者挿入)〕南の王〔エジプトのプトレマイオス四世(筆者挿入)〕は大いに高ぶり、幾万人もの兵を殺すが、決定的に勝つことはできない。13 〔ラフィアでの戦いの12年後{BC205年}プトレマイオス四世が死に、その息子のプトレマイオス五世が四歳で王位につくと(新聖書注解)〕北の王〔シリアのアンティオコス三世(筆者挿入)〕は再び前回にまさる大軍を集め、数年の後に強力な軍隊の軍備を整えて進軍する。14 その時には、多くの者〔アンティオコス三世、マケドニアのフィリッポス、その他(新聖書注解)〕が南の王〔エジプトのプトレマイオス五世(筆者挿入)〕に対して立ち上がる。お前の民の中からも、暴力に頼る者ら〔ユダヤ人のうち、律法を破りアンティオコス大王(三世)と同盟を結んでエジプトに反抗する者たち(新聖書注解)〕が幻を成就させようとして立ち上がるが、失敗する。15 〔紀元前200年エジプトのプトレマイオス五世はスコパスに傭兵を引き連れさせて、パレスチナをシリアのアンティオコス三世の手から奪回するために派遣した。この計画は一時的に成功したが、アンティオコス三世は反撃し、ヨルダン川の源流辺りで、スコパスの軍を撃破し、彼らはシドンに敗退した。(新聖書注解+筆者加筆)〕〔さらに(筆者挿入)〕北の王〔シリアのアンティオコス三世(筆者挿入)〕は進軍し、堡塁を築き、砦に守られた町を占領する〔シドンの町を包囲し、紀元前198年にこれを降伏させた。(新聖書注解)〕。南の王〔エジプトのプトレマイオス五世(筆者挿入)〕はこれに抵抗する力を持たず、えり抜きの軍勢も立ち向かうことができない。16 敵〔アンティオコス三世(筆者挿入)〕は意のままに行動し、対抗する者はない。あの『麗しの地』〔パレスチナ(新聖書注解)〕に彼は支配を確立し、一切をその手に収める。17 彼〔シリアのアンティオコス三世(筆者挿入)〕は南の王国〔エジプト(筆者挿入)〕全体を支配しようと望み、和睦を図り、娘を与え、それによってこの国を滅ぼそうとするが、娘の力は続かず、役に立たない。〔シリアのアンティオコス三世は、その娘のひとりであるクレオパトラ一世をエジプトのプトレマイオス五世と結婚させてエジプトを滅ぼそうとした。しかし、クレオパトラ一世は彼女の父に反対して夫に味方したので計画は成功せず、アンティオコス三世の益にはならなかった(新聖書注解+筆者加筆)〕〔世界の三大美女のひとりと言われるクレオパトラはクレオパトラ七世です(筆者挿入)〕18 次に、彼〔アンティオコス三世(筆者挿入)〕は〔小アジアに近い(新聖書注解)〕島々に目を向け、その多くを占領するが、ある軍人〔ローマ海軍の将軍ルキウス・スキピオ(筆者挿入)〕が彼〔アンティオコス三世(筆者挿入)〕の悪行にとどめを刺し、その悪行に報いる。19 この軍人は〔彼は(新改訳・口語訳・岩波訳)「アンティオコス三世」(筆者挿入)〕自国の城塞に帰るが、そこで失墜し、倒れて消えうせる。20 彼に代わって立つ者〔シリアのアンティオコス三世の子セレウコス四世フィロパトル{BC185-175年}(共ス挿入)〕は、王国の栄光のためにと、税を取る者〔財務大臣ヘリオドロス(共ス挿入)〕を巡回させる〔栄光の国〔ユダヤの国(筆者挿入)〕に人をつかわして、租税を取り立てさせるでしょう(口語訳)〕。しかし、幾日〔短期間の意(筆者挿入)〕もたたないうちに、怒りにも戦いにも遭わずに滅び去る。〔シリアのアンティオコス三世の子セレウコス四世フィロパトルは、財務大臣ヘリオドロスを派遣し、エルサレム神殿に納められていた多額の金を奪おうとした{2マカバイ記3章}。セレウコス四世はヘリオドロスの支持者によって暗殺された。(共ス挿入)〕”(新共同訳)
 過去形のように読めてしまいますが、ダニエルの幻はBC6世紀に与えられたのです。挿入文は歴史上の事実に基づいており、歴史上の事実が幻及びその解き明かしの通りであったので、この回の文章を読むと過去の歴史文学のように思えてしましますが、あくまでもこれらの事が起こる前にダニエルに与えられた幻であったのです。

<お祈り>
天のお父様。
紀元前六世紀にダニエルに与えられた幻とその解き明かしがその通り実現したことを知って、ダニエルの預言は、それらのことが起こってから書かれたものであると解釈する人たちもいますが、そうではなく、主なる神様がダニエルに与えた幻がその通りに起こったと信じる信仰を私たちに与えてくださっておられますことを感謝します。
私たちは、旧約の預言や幻を通して、益々信仰を堅くして頂けますからありがとうございます。
御名を崇めつつ主イエス・キリスト様の御名でお祈りします。アーメン

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

Ⅰヨハネの手紙 Ⅰ歴代誌 Ⅱ歴代誌 アモス書 イエス・キリストのことば イザヤ書 ウェブログ・ココログ関連 エステル記 エズラ記 エゼキエル書 エペソ人への手紙 エレミヤ書 オバデヤ書 ガラテヤ コヘレトの言葉 コロサイ コロサイ人への手紙 ゼカリヤ書 ゼパニヤ書 ダニエル書 テトスへの手紙 テモテへの手紙Ⅰ テモテへの手紙2 ナホム書 ネヘミヤ記 ハガイ書 ハバクク書 ピリピ人への手紙 ピレモンへの手紙 フィリピの信徒への手紙 ヘブル ヘブル人への手紙 ペット ペテロの手紙Ⅰ ペテロの手紙2 ホセア書 マタイによる福音書 マラキ書 ミカ書 ヤコブの手紙 ユダの手紙 ヨエル書 ヨシュア記 ヨナ書 ヨハネの手紙Ⅱ ヨハネの手紙Ⅲ ヨハネの福音書 ヨブ記 ルカ ルツ記 レビ記 ローマの信徒への手紙 ローマ人への手紙 伝道者の書 使徒の働き 使徒言行録 信仰 共観福音書 出エジプト記 創世記 哀歌 士師記 平安 悪しき霊 救い 救いと裁き 救いの確かさ 救い・救われたい方へ 日ごとの恵み 日ごとの恵みXⅢ 日ごとの恵みⅡ 日ごとの恵みⅢ 日ごとの恵みⅣ 日ごとの恵みⅤ 日ごとの恵みⅥ 日ごとの恵みⅦ 日ごとの恵みⅧ 日ごとの恵みⅨ 日ごとの恵みⅩ 日ごとの恵みⅩⅢ 日ごとの恵みⅩⅣ 日ごとの恵みⅪ 日ごとの恵みⅫ 日ごとの恵み27 日毎の恵み15 日毎の恵み16 日毎の恵み17 日毎の恵み18 日毎の恵み19 日毎の恵み20 日毎の恵み21 日毎の恵み22 日毎の恵み23 日毎の恵み24 日毎の恵み25 日毎の恵み26 日記・コラム・つぶやき 民数記 申命記 箴言 終末 終末預言 経済・政治・国際 聖化 詩編 趣味 雅歌 黙示録 黙示録(2回目) 1コリント 1サムエル記 1テサロニケ 1列王記 2コリント 2サムエル記 2テサロニケ 2列王記

カテゴリー

2025年4月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
無料ブログはココログ