2サムエル24章 ダビデの人口調査
1節には、“さて、再び主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕の怒りがイスラエルに対して燃え上がり、ダビデをそそのかして、彼らに向かわせた。「さあ、イスラエルとユダの人口を数えよ」と。”(2017)とあります。
この記事の平行個所である1歴代誌21:1は、“さて、サタンがイスラエルに向かって立ち上がり、イスラエルの人口を数えるように、ダビデをそそのかした。”(2017)と記しています。
サムエル記と歴代誌の両方を合わせるとよく分かります。
主は、人を、悪に誘惑することはありません。
ヤコブ1章には、“13 だれでも誘惑されているとき、神に誘惑されていると言ってはいけません。神は悪に誘惑されることのない方であり、ご自分でだれかを誘惑することもありません。14 人が誘惑にあうのは、それぞれ自分の欲に引かれ、誘われるからです。15 そして、欲がはらんで罪を生み、罪が熟して死を生みます。”(2017)と記されています。
サタンは、ダビデの欲を見抜いたのでしょう。そして、サタンは、ヤハウェ(主)に、ダビデを誘惑することを願い出たのです。ヤハウェ(主)は、ダビデを矯正するために、サタンの申し出を許可したのだと思います。ダビデの心の中には、高慢が芽生えていたのでしょう。サタンはその悪しき思いを大きくするのが得意です。
主がユダとイスラエルを祝福してくださったので、ユダを含むイスラエル全土は、敵から守られ、地の産物を豊かに収穫し、人口も増えたのです。ダビデの心の中には、主が祝福してくださったからこのようになったのだ、という思いがありましたが、それだけではなく、自分が王として有能であったから、という思いも持っていたのであろうと思います。心の中の思いのせめぎ合いの中で、肉の欲が勝ったのです。そして、人口調査へと突き進んでいったのだろうと思います。
2-4節には、
“2 王はともにいた軍の長ヨアブに言った。「さあ、ダンからベエル・シェバに至るまでのイスラエルの全部族の間を行き巡り、民を登録し、私に民の数を知らせよ。」
3 ヨアブは王に言った。「あなたの神、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕が、この民を百倍にも増やしてくださいますように。わが主、王の目が、親しくこれをご覧になりますように。ところで、わが主、王は、なぜこのようなことを望まれるのですか。」
4 しかし、ヨアブと軍の高官たちへの王のことばは激しかった。ヨアブと軍の高官たちは、イスラエルの民を登録するために王の前から出て行った。”(2017)と記されています。
この箇所を読むと、ダビデよりも軍の長ヨアブや軍の高官たちの方が、ヤハウェ(主)に対して謙遜です。
軍の長ヨアブや軍の高官たちは、ダビデの行為を止めようとしましたが、ダビデに押し切られ、人口調査をすることになりました。
5-9節には、軍の長ヨアブや軍の高官たちによる未完成の人口調査が次のように記されています。
“5 彼らはヨルダン川を渡って、ガドの谷の真ん中にある町、ヤゼルに向かって右側にあるアロエルに宿営し、6 ギルアデとタフティム・ホデシの地に行き、さらにダン・ヤアンに行き、シドンに回った。7 そしてツロの要塞に行き、ヒビ人やカナン人のすべての町に行き、ユダのネゲブへ出て行って、ベエル・シェバに至った。8 彼らは全土を行き巡り、九か月と二十日の後にエルサレムに帰って来た。9 ヨアブは兵の登録人数を王に報告した。イスラエルには剣を使う兵士が八十万人おり、ユダの兵士は五十万人であった。”(2017)とあります。
この人口調査が未完成であったのは、1歴代誌27:24に、“ツェルヤの子ヨアブが数え始めたが、終わらなかった。しかし、このことで御怒りがイスラエルの上に下った。それでその数はダビデ王の年代記の統計には載らなかった。”(2017)と記されていることから分かります。
以前にも聖書には2回の人口調査が記されていますが、2回とも、ヤハウェ(主)が行うように命じたものでした。
2回目の時の全イスラエルの人口調査の結果は、601,730人でした(民数記27:51)。この人数は兵につける20歳以上の男子の数です。
10節には、“ダビデは、民を数えた後で、良心のとがめを感じた。ダビデは主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕に言った。「私は、このようなことをして、大きな罪を犯しました。主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕よ、今、このしもべの咎を取り去ってください。私は本当に愚かなことをしました。」”(2017)と記されています。
ダビデは自分が罪を犯したことを感じました。しかしそれは人口調査の命令を下してから約10ヶ月後のこと、即ち人口調査を終えた後のことでした。
サタンは、その人の内にある主に喜ばれない欲望や不信仰また憎しみなどに乗じてやって来ます。そしてそれを強くし、ことが実行されたならば、その人から離れます。
脱線しますが、イエス様を裏切ったイスカリオテのユダの場合ですと、
➀ユダは、常習的に罪を犯していました。
ヨハネ12:6には、“彼〔イスカリオテのユダ(筆者挿入)〕がこう言ったのは、貧しい人々のことを心にかけていたからではなく、彼が盗人で、金入れを預かりながら、そこに入っているものを盗んでいたからであった。”(2017)と記されています。
②サタンがユダの心に悪しき思いを入れます。
ヨハネ13:2には、“夕食の間のこと、悪魔はすでにシモンの子イスカリオテのユダの心に、イエスを裏切ろうという思いを入れていた。”(2017)と記されています。
③サタンがユダの中に入ります。
ヨハネ13:27には、“ユダがパン切れを受け取ると、そのとき、サタンが彼に入った。”(2017)と記されています。
④サタンは事が実行されれば、サタンが用いた人から離れます。我に返ったその人は、罪責感のかたまりになってしまいます。
マタイ27章には、“3 そのころ、イエスを売ったユダはイエスが死刑に定められたのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちと長老たちに返して、言った。4 「私は無実の人の血を売って罪を犯しました。」しかし、彼らは言った。「われわれの知ったことか。自分で始末することだ。」5 そこで、彼は銀貨を神殿に投げ込んで立ち去った。そして出て行って首をつった。”(2017)と記されています。
恐らくその後に、“このユダは、不義の報酬で地所を手に入れたが、真っ逆さまに落ちて、からだが真っ二つに裂け、はらわたがすべて飛び出してしまった。”(使徒1:18・2017)ということが起きたのだろうと思います。
ダビデの場合は罪責感に責められて自殺したのではなく、主に悔い改めの祈りをささげたのです。主はその祈りを聞いてくださいました。
しかし、主は蒔いた種の刈り取りをさせました。
ガラテヤ6:7には、「思い違いをしてはいけません。神は侮られるような方ではありません。人は種を蒔けば、刈り取りもすることになります。」(2017)と記されています。
11-25節には、罪の刈り取りの内容が次のように記されています。
“11 朝ダビデが起きると、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕のことばがダビデの先見者である預言者ガドにあった。
12 「行ってダビデに告げよ。『主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕はこう言われる。わたしはあなたに三つのことを負わせる。そのうちの一つを選べ。わたしはあなたに対してそれを行う。』」
13 ガドはダビデのもとに行き、彼に告げた。「七年間の飢饉が、あなたの国に来るのがよいか。三か月間、あなたが敵の前を逃げ、敵があなたを追うのがよいか。三日間、あなたの国に疫病があるのがよいか。今、よく考えて、私を遣わされた方に何と答えたらよいかを決めなさい。」14 ダビデはガドに言った。「それは私には非常に辛いことです。主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕の手に陥らせてください。主のあわれみは深いからです。私が人の手には陥らないようにしてください。」
15 主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕は、その朝から定められた時まで、イスラエルに疫病を下された。ダンからベエル・シェバに至るまで、民のうち七万人が死んだ。
16 御使いは、エルサレムを滅ぼそうと手を伸ばした。
主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕はわざわいを下すことを思い直し、民を滅ぼす御使いに言われた。「もう十分だ。手を引け。」主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕の使いは、エブス人アラウナの打ち場の傍らにいた。
17 ダビデは、民を打っている御使いを見たとき、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕に言った。「ご覧ください。この私に罪があるのです。私が悪いことをしたのです。この羊の群れがいったい何をしたでしょうか。どうか、あなたの御手が、私と私の父の家に下りますように。」
18 その日、ガドはダビデのところに来て、彼に言った。「上って行って、エブス人アラウナの打ち場に、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕のために祭壇を築きなさい。」
19 ダビデは、ガドのことばにしたがって、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕が命じられたとおりに上って行った。
20 アラウナが見下ろすと、王とその家来たちが自分の方に進んで来るのが見えた。アラウナは出て行き、地にひれ伏して、王に礼をした。21 アラウナは言った。「なぜ、わが主、王は、しもべのところにおいでになったのですか。」
ダビデは言った。「あなたの打ち場を買って、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕のために祭壇を築きたい。そうすれば民への主の罰は終わるだろう。」
22 アラウナはダビデに言った。「わが主、王よ。お気に召す物を取って、お献げください。ご覧ください。ここに全焼のささげ物のための牛がいます。薪にできる打穀機や牛の用具もあります。23 王よ、このアラウナはすべてを王に差し上げます。」アラウナはさらに王に言った。「あなたの神、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕が、あなたを受け入れてくださいますように。」
24 しかし王はアラウナに言った。「いや、私は代金を払って、あなたから買いたい。費用もかけずに、私の神、主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕に全焼のささげ物を献げたくはない。」そしてダビデは、打ち場と牛を銀五十シェケルで買った。25 ダビデは、そこに主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕のために祭壇を築き、全焼のささげ物と交わりのいけにえを献げた。
主〔ヤハウェ(筆者挿入)〕が、この国のための祈りに心を動かされたので、イスラエルへの主の罰は終わった。”(2017)とあります。
<お祈り>
天のお父様。
あなたの御名を崇めます。
ダビデは、罪の行為を実行する前にヨアブに忠告されましたが、それを無視して事を行ってしまいました。
もし、ダビデが、忠告を受けた時に、少し冷静になって主のみ前に出、祈っていたなら、と悔やまれます。
自分より若い人や信仰年の浅い人からの忠告であっても素直に耳を傾け、先ずは主に祈るということを実行することが出来ますように。
絶えずあなたのみ前に謙遜であり続ける歩みをさせて頂けますように。
主イエス・キリスト様の御名でお祈りします。アーメン